国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

巻頭コラム

新年のごあいさつ  2011年1月21日刊行
須藤健一

みなさま明けましておめでとうございます。
みんぱくは「うさぎ展」の新春飾りをつけ、34回目の新年を迎えました。
今年も多彩でおもしろい催しものがもりだくさんです。

 ◆研究-共同利用機関の本領発揮
機関研究や共同研究をみんぱくの顔として推進し、その成果を新しい『論集』として外部出版する計画を進めています。これまでに終了したないしは3月終了の共同研究の成果がこのシリーズの刊行本として出版される予定です。また、イギリスやペルーなどの学術協定大学・研究機関との国際共同研究を行うとともに、台湾・韓国などの博物館とは本館資料の里帰りによる研究展示を行います。

 ◆展示―みんぱくの面白さを知ってもらおう
 【本館展示】
3月には、新構築展示のオセアニアとアメリカがオープンします。そして9月には、展示を一新した4地域(アフリカ、西アジア、オセアニア、アメリカ)、音楽と言語の各展示場の『展示案内』が出来上がります。新しい展示のナビゲーターとして大きな役割を果たすことを願っています。

 【特別展示】
春の展示では、昨年7月に亡くなられた初代館長梅棹忠夫先生の特別展「ウメサオタダオ展」と企画展「民族学者 梅棹忠夫の眼」が開催されます。梅棹先生は「創設者」、「研究経営者」そして「未知への探求者」としてみんぱくの現在を築いてくれました。特展では、未知なるものにあこがれ、山を歩き、世界の民族を訪ねた梅棹先生の「人と学問」を多面的に展示します。 秋の特展では「アイヌ展」を予定しています。日本の先住民族のアイヌの人びとが自らの歴史と文化へ誇りをもち、社会の活性化をめざした施策や研究を推進しつつある現在、アイヌ展を行うことはタイムリーな取り組みと言えます。

このほかに、ゼミナール、講演会、研究公演、映画会、みんぱくウイークエンド・サロン、ワークショップなどなど、毎週何かの催しが行われます。
本年はウサギ年です。機敏で利発なウサギ派と慎重でスローライフを好むカメ派の行動パターンがありますが、私たちは双方の良い面を取り入れて「着実な果実を生み出すみんぱくウエイ」で「明るく楽しみのあるみんぱく」にしていこうと思っています。みなさま、どうぞ今年もご期待ください。

須藤健一(国立民族学博物館長)

◆関連ウェブサイト
館長だより