国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

みんぱく映画会

2010年2月27日(土)
トルパン
研究領域「包摂と自律の人間学」

国立民族学博物館では2009年秋から<包摂と自律の人間学>をテーマに新しい機関研究を開始しました。 この機関研究と連動して、テーマにふさわしい映画を選び、研究者による解説付きの上映会「みんぱくワールドシネマ」を始めました。 第4回目は、新しくなった西アジア展示場でいななくラクダも登場する、カザフスタン映画「トルパン」です。ユーラシア乾燥地帯の厳しい自然の中で生きる遊牧民の現代生活を通して、多様な価値観をもつ国や人びとが、地球の自然や動物たちとも共生するあり方を考えたいと思います。

  • 日 時:2010年2月27日(土) 13:30~16:00(開場13:00)
  • 場 所:国立民族学博物館 講堂
  • 定 員:450名
    • 整理券は10:00より講堂入口にて配布いたします。
    • 事前申込は不要です。
    • 当日は、10:00~13:00まで、中央アジア展示場にて、映画の舞台になっているカザフスタンに関連して、研究者による解説をおこいます。
    • カザフ族の天幕内部も、特別に見学していただけます。
    • この整理券をご提示いただければ、割引料金で常設展をご覧いただけます。
    • 毎週土曜日は、小・中・高生は観覧無料です。ただし、自然文化園を通行される場合は、入園料が必要です。
  • 参加料:無料(ただし、常設展をご覧になる方は別途観覧料が必要です。)
  • 主 催:国立民族学博物館
  • チラシダウンロード[PDF:8.6MB]

みんぱくワールドシネマ 映像に描かれる<包摂と自律> 第4回上映会

「トルパン」 Tulpan
(2008年/カザフスタン・ドイツ・スイス・ロシア・ポーランド合作/
カザフ語、ロシア語/日本語・英語字幕つき/102分)
【開催日】2010年2月27日(土) 13:30~16:00(開場13:00)
【監督】セルゲイ・ドヴォルツェヴォイ
【出演】アスハット・クチンチレコフ サマル・エスリャーモヴァ
【解説】小長谷有紀(国立民族学博物館 民族社会研究部教授)
[映画解説]
カンヌ国際映画祭ある視点部門グランプリ、東京国際映画祭最高賞&監督賞のW受賞 など世界を席巻しつつ、日本では劇場公開されずにいた話題作。海軍での兵役を終えて、遊牧民になろうと思い立つも、嫁をもらわなければ遊牧民にもなれない宙ぶらりんな青年の、笑いと涙の結婚物語の舞台となるのは、未だ自然の尊厳が守られた、カザフスタンのステップ地帯。気ままに闊歩する動物から、大人顔負けの自我を育む子どもたちまで、被写体すべてが、何にも媚びず凛と輝く。猛烈なるアタックも、チャームポイントの大きな耳を嫌われ不発に終わったり、思わず見入ってしまう超リアルな羊の出産に立ち合ったりしながら、郷土愛溢れる夢の実現へと一歩ずつ突き進んでいく主人公の、不器用だがガムシャラな姿に、目頭が熱くなる好篇だ。(映画評論家・服部香穂里)

 

「カザフスタンの牧畜生活」 解説:小長谷有紀(国立民族学博物館 民族社会研究部教授)

ユーラシアの乾燥地帯には遊牧というライフスタイルが広く展開してきた。カザフスタンの場合、ソ連邦に組み入れられ、社会主義のもとで近代化を果たす時、広大な地域が小麦畑や核実験場となって、遊牧の移動は極端に縮小された。その代わり、国営農場や集団農場によって干し草や水が運ばれるようになったため、これまで条件が悪くて利用できなかった土地も有効に利用できるようになった。ただし、かつてのように豊かな草原ではなく、砂塵の舞う砂漠なのである。ソ連崩壊後、市場経済化への移行に伴い、ほとんどの農牧業組織が破綻したので、人びとはひとたび失業し、改めて、牧畜を営む企業に牧夫として雇われてようやく家畜の世話をすることができる、という状況になっている。

■お問い合せ先
国立民族学博物館 広報企画室企画連携係
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Tel: 06-6878-8210(平日9:00~17:00)