国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

特別展「ラッコとガラス玉」

ラッコとガラス玉


イベント・コーナー【 民族衣装の試着 】

※特別展2階のイベント・コーナーでは、このページ掲載の民族衣装をご試着いただけます。

ナナイの花嫁衣装
この花嫁衣装「シケ」はアムール川流域のニージニエ・ハルビ村にある中等学校に通う10年生と11年生(日本の高校2年生、3年生に当たる)の少女たちが製作したものです。

ナナイの花嫁衣装【前】 ナナイの花嫁衣装【後ろ】

衣装には様々な色をした布の上に伝承にもとづく様々な文様が刺繍されています。四角形の黄色みがかった布には2匹の太陽の竜「ムドゥル」が描かれています。伝説によればそれらは天の高いところ、すなわち太陽のそばに住み、地上の人間を悪から守るためにそこから善の力を汲み上げているといわれます。その口は大きく開けられていますが、その鱗には七色の虹がきらめき、それはまた希望と復活のシンボルでもあります。竜が描かれた布は婚礼衣装の肩の部分にあり、衣装そのものは徐々に花嫁の体を包む伝承の世界へと変わっていきます。肩からはあたかも天空から舞い下りるように竜が下がっています。それは自らの虹の鱗を婚礼衣装にとどめて、未来の母親を不幸から守るためです。そのために少女たちは、昔のナナイの女性たちがしたように、婚礼衣装の背中に鱗を縫いつけ、それぞれの鱗に様々な色の糸(ムリネ)で動物や神話の鳥などを刺繍しました。衣装の裾からは、ちょうど地面から立ち上がるように、魂の木(オミャ・モーニ)を刺繍します。その枝は様々な色で彩られて虹のようになっていまして、葉の代わりに小さな鳥がその上にとまっています。その鳥たちは生まれる前の子供の魂を表していて、自分が欲しい子供の数だけ花嫁がそこに縫いつけるのです。それは昔から行われてきたことでして、だれもこの掟を破ることはありませんでした。生命の木は人々の運命と同じように、皆に共通です。でも、各々自分の木を持っていて、たとえその人が永遠に去ってしまっても、木はその人の生前の善行の力で伸び続けるのです。この花嫁衣装「シケ」は少女たちが古い伝統に則った手芸教育の中で縫い上げたものです。

製作者:ヴィカ・ジゴル、Y-リャ・シフコヴァ、オーリャ・ツヴェンタルナヤ、ナターシャ・サマル、アーニャ・サマル、ターニャ・ジゴル他

ウリチの女性用衣装 ウリチの男性用衣装

ウリチの男性用衣装 ナナイの男性用衣装
※上掲写真以外に、アイヌの民族衣装などもご試着いただけます。