国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館員の刊行物

物質性の人類学――世界は物質の流れの中にある  2017年3月14日刊行
古谷嘉章、関雄二、佐々木重洋 編 同成社
【共同研究成果】

出版物情報

主題・内容

テクノロジーの革新により仮想現実が蔓延しているが、人間は依然として物質的存在である。本書は、人類学が問うべき人間の生活と人生の基盤をなす「物質性」の問題を、物性・感覚性・存在論の観点から再考察する。

おすすめのポイント(読者へのメッセージなど)

物性・感覚性・存在論を内包する「物質性」という問題に、考古学・文化人類学・美術史学のの論客が正面から挑み、世界とその中で生きる人間のあり方の根幹を明るみに出す、人類学の新しい挑戦。

目次

プロローグ 物質性を人類学する  古谷嘉章
第Ⅰ部 世界は人間にとってどのような条件か【物性の問題系】
 第一章 アンデスの神殿に刻まれた人間とモノの関係  関雄二
 第二章 モノの考古学的研究――世界の未規定性・不確定性の縮減媒体としてのモノ研究の観点から  溝口孝司
 第三章 縄文土器と世界観  松本直子
第Ⅱ部 人間は世界をどのように体験し、どのように働きかけるのか【感覚性の問題系】
 第四章 動く像――キリスト教中世における像の生動化をめぐって  秋山聰
 第五章 モノとして見た人間と世界――バリ島の事例から  鏡味治也
 第六章 仮面を介して感知する世界、仮面を介さず感知する世界  佐々木重洋
第Ⅲ部 人間はどのような世界に住んでいるのか【存在論の問題系】
 第七章 建てることと住むこと――住居の物質性の研究のために  出口顯
 第八章 世界の多貌性とシャーマンの変身――Multiple Views of the Worlds and Shamanic Transformations  古谷嘉章
エピローグ 物質性の人類学の可能性  関雄二