国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館員の刊行物

海民の移動誌―西太平洋のネットワーク社会  2018年3月30日刊行

小野林太郎、長津一史、印東道子 編

昭和堂
【共同研究成果】

出版物情報

主題・内容

本書はアジア・オセアニア海域で、海と密接に関わりながら暮らしてきた「海民」やそのネットワーク社会の普遍性と地域性を、考古学的時間と民族誌的時間軸から海域別に論じた学際的な海民研究の成果である。

おすすめのポイント(読者へのメッセージなど)

海民や海人を対象とした研究は、日本においては民俗学や歴史学を中心に進められてきた。これに対し、本書は考古学・文化人類学・生態人類学・民俗学を軸とした学際的なアプローチと海域別の比較論より、海民研究の新たな境地に到達した記念碑的作品ともなったと自負している。ぜひご一読頂ければ幸いである。

目次

第Ⅰ部 序論
第1章 海民の移動誌とその視座(小野林太郎・長津一史・印東道子)
第2章 海のエスノ・ネットワーク論と海民――異文化交流の担い手は誰か(秋道智彌)
第3章 マダガスカル島と海域アジアを結ぶネットワーク(飯田卓)
第Ⅱ部 東南アジアの海域世界
第4章 海域東南アジアの先史時代とネットワークの成立過程
     ――「海民」の基層文化論(田中和彦・小野林太郎)
第5章 耳飾が語る金属器時代東南アジアの海域ネットワーク(深山絵実梨)
第6章 東南アジアにみる海民の移動とネットワーク
     ――西セレベス海道に焦点をおいて(長津一史)
第7章 〈踊り場〉のネットワーク――モーケンと仲買人の関係性に着目して(鈴木佑記)
第Ⅲ部 東アジアの海域世界
第8章 海を渡り、島を移動して生きた最初期の「海民的」人びと
     ――宮古・八重山諸島の先史時代からみた海域ネットワーク(山極海嗣)
第9章 中世・近世期における八重山諸島とその島嶼間ネットワーク(島袋綾野)
第10章 糸満漁民の移住とネットワークの動態(玉城 毅)
第Ⅳ部 オセアニアの海域世界
第11章 先史オセアニアの海域ネットワーク
     ――オセアニアに進出したラピタ人と海民論(小野林太郎)
第12章 オセアニアの島嶼間ネットワークとその形成過程(印東道子)
第13章 ムシロガイ交易からみる地域史
     ――進行形のネットワーク記述に向けて(深田淳太郎)