国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館員の刊行物

<客家空間>の生産――梅県における「原郷」創造の民族誌  2020年2月25日刊行

河合洋尚(編)

風響社

出版物情報

主題・内容

中国東南部に位置する客家の故郷・梅県。広東省の一地域であった梅県で客家意識が芽生え、<客家空間>へと変貌していく過程を、政策と生活実践の双方から読み解いた民族誌である。

おすすめのポイント(読者へのメッセージなど)

近年の中国はエスニックな資源を用いて、開発・観光を進めるようになっています。そうした政治経済的な動向に、中国の都市住民がいかに巻き込まれていったのか、もしくは自律性を保っているのかを、描き出しました。なお、歴史的に梅県は日本と深いつながりがある地です。本書は、日本で初めて本格的に描いた梅県の民族誌となっています。

目次

まえがき

序 章 本書の視点と方法――客家文化研究から空間論へ

第1章 政策――華僑のまなざし、「原郷空間」の創出

第2章 宗族――客家言説と「親族」カテゴリー

第3章 儀礼――正月半をめぐる表象と実践

第4章 風水――客家文化としての表象、住まうことの実践

第5章 景観――都市開発と文化遺産実践

第6章 信仰――客家神をめぐるポリティクス

第7章 墓地――歴史の資源化と「親族」の再構築

終 章 客家文化研究の空間論的展開へ向けて

あとがき