国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

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(2)博物館は地域の「顔」  2014年10月2日刊行
丸川雄三(国立民族学博物館准教授)

「文化遺産オンライン」のページの例

知らない町を訪れた時、博物館に立ち寄り、町にゆかりの美術品や歴史資料にふれるという方も多いと思う。地域の歴史や文化に根ざした博物館は、いわばその土地の顔である。

日本全国には6000を超える数の博物館があるといわれている。一つの自治体に三つ以上の博物館がある計算だ。

近年、博物館には新しい役割が求められはじめている。資料や作品を通して地域の文化を伝える「顔」としての役割を拡大し、情報を広く内外に発信する「文化拠点」となることである。

インターネットの普及が進み、地域の情報発信においても内容の充実が求められる時代である。貴重な資料や作品を保存し、長年にわたって多数の来訪者を迎えてきた博物館の持つ可能性は大きい。

一方で拠点化に必要な情報インフラを整備するにはコストがかかる。文化庁と国立情報学研究所は、収蔵品やイベント情報をインターネットから無料で登録できる「文化遺産オンライン」をウェブ上に公開しており、筆者もその開発に関わっている。今後も多くの方が便利に活用できるよう、情報インフラの整備を通して、各地の博物館の拠点化を支える一端を担うことができればと思う。

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