国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

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韓国の食

(2)オノマトペ  2015年10月8日刊行
朝倉敏夫(国立民族学博物館教授)

ラーメンの「くねくね」した様子を韓国語では「コブルコブル」と表現する=韓国芸術総合学校の学生の作品

やきいもは「ホクホク」、焼き魚は「こんがり」、おいしさをイメージさせる言葉がある。これらの擬音語と擬態語を総称して「オノマトペ」という。

最近は、「もちっと」「とろーり」など食の商品名にも頻繁に使われているが、オノマトペは、食の漫画にもたくさん登場する。日韓両国では、日本の『美味しんぼ』や『深夜食堂』、韓国の『食客』といった漫画が、互いに翻訳されている。

国立民族学博物館で開催中の特別展「韓日食博」では、このオノマトペに着目した京都造形芸術大学と韓国芸術総合大学の情報メディア学科の学生が、日本と韓国の食の漫画に登場するオノマトペを比較分析し、それを展示に活用してくれた。

また、韓国のオノマトペについては、著名な書芸家である姜秉寅(カンビョンイン)先生の指導を受け、ハングルのカリグラフィーで表現した作品もある。たとえば、日本ではソバを「ずるずる」食べるというが、韓国では「フルルク」という。このハングルを、あたかもそばがずるずると口にはいっていくような書体で書いている。

コトコトやじゅうじゅうなど、オノマトペには、見た目や食感だけでなく、音の要素を含むものがある。耳で聞くのではなく、目で音を感じることができるのではないだろうか。

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