設置趣旨
大学共同利用機関法人人間文化研究機構 地域研究推進事業
南アジア研究 国立民族学博物館拠点について
当拠点は、国際シンポジウムの主催や開催支援、事業全体の研究成果の英文叢書等での刊行の支援、国際学術交流協定関係の拡大、国際南アジア研究センター・コンソーシアムの構築など、拠点事業の国際化の推進を主な任務として副中心拠点としての役割を果たしてゆきます。
研究面では、インド・南アジア発の人や文化・価値の環流状況の解明や社会変化の中でも維持される南アジア的な社会結合の特性の解明を通じ、地域固有の社会的レジリエンスの特徴を抽出し、グローバル化の中で生ずる社会的リスクへの対応という問題解決に貢献します。
研究の成果は日本語や英語での論文集の出版、インターネットでの情報発信やデータベース公開などを中心に行いますが、民族学博物館の特性を生かし、映像を含めた資料の収集と展示のかたちでも展開します。また院生を含む文化人類学分野における次世代のインド研究者の養成にも取り組みます。
[研究テーマ]南アジアの文化と社会
経済や文化のグローバル化、社会のボーダーレス化が著しく進展するなかで、南アジアの人・モノ・価値はこれと交渉しつつ、独自の移民ネットワークや文化の環流の主体的担い手となって新たな価値を創造しています。一方、グローバル化は新たな社会的格差や情報アクセス、文化的創造力の格差を生み出してもいます。
国立民族学博物館拠点では、主として社会/文化人類学的な視点から、南アジアの人と社会がグローバル化のもとで激変する社会・文化状況にどのように応答し、また自らが主体となって新しい文化と社会を作り出しているのかを解明していきます。そのことを通じて、リスクに対応し、多元的主体が競争しつつ共存しうる南アジア的な文明の智慧の特質に迫ります。それに学び、グローバル化の中で浮かび上がる他地域の文明的特質と比較考察を加えることを通じて、人類社会のリスク対応や包摂的・持続的発展の今後を考えていきます。