国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

服装・身装文化デジタルアーカイブ(2019)

科学研究費補助金による研究プロジェクト|研究成果公開促進費(データベース) 代表者 高橋晴子

研究プロジェクト一覧

目的・内容

近年の科学技術の進展と伴に、世界の衣生活全般においては、化学繊維および化学染料が主流になってきており、各民族が育んだ伝統的な身装文化が廃れてきている。また、明治以降に収集された画像資料、フィールド写真等の貴重な学術資料が、経年変化や酸性紙等により劣化の危機に直面している。このため、次世代の身装文化に係る国内外の研究に広く活用できるように、未着手の劣化の著しい標本資料ならびに学術資料を早急にデジタル化し、既存の服装・身装文化デジタルアーカイブに追補していくことを目的とする。
現行の服装・身装文化デジタルアーカイブは、〈衣服・アクセサリー標本〉、〈身装画像データベース「近代日本の身装文化」〉、〈近代日本の身装電子年表〉、〈身装文献〉で構成され、既に国立民族学博物館のウェブサイトより公開している。本デジタルアーカイブは、和装と洋装が拮抗し、現在の洋装文化へと移行していった重要な時期である近代日本に関する情報が充実しており、国内外からの利用が年々高まってきている。この状況から見ても、今後、データの国際共有のための環境整備(日本語・英語の検索用語・データの調整、画像へのタグ付け、国際的な共通検索用語の追加等)の迅速な対応は不可欠となっている。データの国際共有のための環境整備は、わが国の身装文化の変容過程を正しく伝えるデータベースとして機能するばかりでなく、国内外のデータベースとのリンクにより、多角的な世界の身装情報の取得も可能となる。本デジタルアーカイブは、国内はもとより、国外においても稀な存在のため、世界の身装文化に係る研究拠点としての役割を担うことができる。