22年前の「音楽の祭典」

1982年音楽の祭典のポスター 22年前、「音楽の祭典 Fête de la Musique」はとても自由な雰囲気ではじまった。
フランスの夏の夜は長い。夜11時を過ぎても、人々はカフェで集ったり、そぞろ歩きをしている。だれでもが、何となくワクワクし、何か楽しいことをしたい気分になる季節。そのようななか、6月21日、夏至の日を「音楽の祭典」にするというニュースは、すぐにフランス中に広まった。プロの演奏家にかぎらず、だれでもが参加できる。音楽のジャンルも問わない。一晩中、街中が音楽であふれるという。
企画の発端は、フランス人の文化活動に関する調査結果だったらしい。フランス人の37%は何か楽器をもち、10人に1人は(若者にいたっては2人に1人が)定期的に演奏しているというのである。
1982年の「音楽の祭典」は大成功であった。パリでは、広場、街頭、歩行者天国の道、セーヌ川にかかる橋の上、あらゆるところに人々はくり出していた。音楽をしようとする人々はもとより、それ以上に大勢の人々が心待ちにしていたこの日、音楽を聞くために外に出て、音楽を楽しんだ。 あれから20年以上。プロの演奏もあったが、ほんとに普通の人たちが自由に、自然発生的に外に出て、参加していた「音楽の祭典」はどのようになっているのだろう。

園田直子(文化資源研究センター助教授)

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