2009年度
「歴史研究資料としての映画の保存と活用に関する基盤的研究」(平成22~26年度)を開始する前年,「日本における初期民俗誌映画の総合的研究のための予備調査」を実施した.渋沢敬三,宮本馨太郎が関与して制作された民俗誌的な映画の目録化を行い,とりわけ, 宮本記念財団所蔵のフィルムについては,保存状態のチェックを行い,修復とデジタル化の方針を検討した.
2010年度
宮本フィルムについて観察を行い,フィルムの長さ,種類,製造メーカー,劣化等のフィルムの状態などのデータを取得した.そのうち,民俗学的な内容を含み,テレシネ作業に耐えられる状態のフィルム48本について,フィルムそのものや編集についての情報をできるだけ多く取得するためにパーフォレーションを含む範囲(写真1,2),でHDテレシネ収録を実施する方針をたて,まず,アチックフィルムと関係の深い 14本について実施した.また,映像のデータベース化の準備として,ショットリストの作成をすすめた.
[写真1]宮本馨太郎撮影「八丈島の記録」より,財団法人宮本記念財団所蔵[写真2]宮本馨太郎撮影「霞ヶ浦のほとり」より,財団法人宮本記念財団所蔵
2011年度
企画展示
二風谷で開催されたマンロー関係の企画展示「マンロー先生と二風谷」(2011年10月4日〜30日,主催:マンロー先生を偲ぶ会,共催:平取町教育委員会)において,マンローフィルムに関する成果を公開した(写真3).
[写真3]二風谷のようす(昭和5年,マンロー撮影の映画フィルムより,国立歴史民俗博物館所蔵)
シンポジウム
シンポジウム「映像資料の保存と継承」(2012年2月27日、於:国立歴史民族博物館)を本連携研究の「人間文化資源の保存環境研究」、および「映像による芸能の民族誌の人間文化資源的活用」研究班と共同開催し、フィルムや写真の保存技術や、保存・活用の際の権利処理に関する共通する課題を検討し、認識を共有した。開催趣旨
【プログラム】
- 講演1:板倉史明(東京国立近代美 術館フィルムセンター)
- 講演2:山口孝子(東京都写真美術館)
- 講演3:福井健策(骨董通り法律事務所)
2012年度
内田順子,2013,「民俗誌映画のアーカイブ化――マテリアルとしての映画情報の取得と保存活用」『日本民俗学』273,254-256.
2013年度
宮本フィルムについての研究成果を「歴博映像祭」(11月17日,20日~24日)にて公開.
歴博映像祭「映像民俗学の先駆者たち:渋沢敬三と宮本馨太郎」
2014年度
宮本フィルムについての研究成果を「第22回歴博映画の会」(10月4日)にて公開した.
第22回 歴博映画の会「我が家の記録」
また,特集展示「山の流行服」(歴博,2015年3月10日~9月6日)にて公開中である.
特集展示「山の流行服」
マンローフィルムについては,文書・写真を中心とするマンロー関係資料データベースとリンクするかたちで,国立歴史民俗博物館の「データベースれきはく」から2015年度より順次公開予定である.