国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館外での出版物

オセアニアと公共圏――フィールドワークからみた重層性 ★

2012年12月25日刊行

柄木田康之、須藤健一 編

昭和堂
【共同研究成果】

出版物情報

主題・内容

太平洋島嶼国の多様な公共圏が国家と共同体の間の中間集団として生起する社会集団や人びとの集まり分析,現地の多文化的公共圏とNGO等の市民組織の関係分析をとおし、新興国における市民社会の欠如というテーゼに疑問を投げかけるものである。

目次

はじめに―オセアニア島嶼国の動き  須藤健一
序章  規範的公共性を越えて  柄木田康之
〔第Ⅰ部〕公共圏の重層性
第1章  ヤップ州離島の公共圏の重層性―公務員アソシエーションと交易ネットワーク 柄木田康之
第2章  国家からの離脱と「市民社会」―ソロモン諸島における開発的公共圏の伸縮  関根久雄
第3章  民族化する国家体制と離脱する人びと―フィジーのラミ運動からみる公共圏形成  丹羽典生
第4章  植民地期サモアにおける公衆衛生と公共圏―第2次マウ運動の展開を中心として  倉田誠
第5章  サモア社会に公共空間は存在するか?  山本真鳥
第6章  譲渡できないものを贈与する―ヴァヌアツ・アネイチュム島における名前の贈与と公共圏  福井栄二郎
第7章  パプアニューギニア都市における「公共空間」の可能性―ポートモレスビーのセトルメント住民の日常生活実践から  熊谷圭知
〔第Ⅱ部〕トランスナショナルな公共圏
第8章  ディアスポラ的公共圏の生成―バナバ人ナショナリズムを超えて  風間計博
第9章  移民にとっての公共圏はどのようにトランスナショナルなのか?―パプアニューギニア華人社会における多言語状況  市川哲
第10章 脱植民地期ミクロネシアにおける公共圏・公共的空間の問題系―「ミクロネシア・沖縄問題」の設定にむけて  遠藤央
〔第Ⅲ部〕多配列な公共圏と単配列な公共圏
第11章 オセアニアにおける公共圏、親密圏の出現  吉岡政徳
第12章 グローバル化する「公共宗教」の行方―ソロモン諸島における教会活動とガバナンス構築  石森大知
第13章 太平洋諸島フォーラムと市民社会―オセアニアにおける「地域的公共圏」をめぐる一考察  小柏葉子
あとがき  柄木田康之
索引
執筆者紹介