国立民族学博物館調査報告(Senri Ethnological Reports)
2006年2月28日刊行
Edited by Tenpa Yungdrung, Per Kvaerne, Musashi Tachikawa, Yasuhiko Nagano
バックナンバー刊行の目的および意義
本書は当館に蔵するポン教タンカの詳細な記述分析で、科研・国際学術研究『ポン教文化の総合的研究』(1996-1998年度)及び『シャンシュン語の解読と文語チベット語形成の研究』(1999-2001年度)の研究成果の一部である。
ポン教はチベットに仏教がもたらされる前から存在していた宗教であるが、7世紀に仏教がチベット統一のイデオロギーとして採用されて以来弾圧され、信徒集団の数と分布は限定されている。しかし、ポン教の習俗はチベット文化の基層をなすものが多く、仏教も多くを借用している。チベットの宗教文化研究は仏教に偏り、ポン教研究は世界的に見ても立ち遅れている。この状況を改善するため、1996年度以降科研費による調査を行い、研究基盤整備に努めてきた。この結果、主要な文献類や図像資料を収集することができた。文献類に関してはすでにSERでその成果の一部を発表したが、今回は図像資料のうち、タンカ(仏教で言う仏画)の記述分析資料を公表したい。マンダラと同様、先行する刊行物はなく、今後の図像同定の基準となるはずである。ポン教タンカの構造及びマンダラとの並行関係を概説した後、各図像に現れる神格の特定、という順で記述を行っている。なお、ポン教のタンカは構造上ふたつの体系が並存しており、今回はそのうちのひとつ、キュンポの体系を代表するタンカ図像を扱う。
Table of Contents
……………… Yasuhiko Nagano
Introduction
……………… Per Kvaerne
Editorial Notes
……………… Musashi Tachikawa
List of Thangkas
Description