国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

スタッフの紹介

市川哲
市川哲ICHIKAWA Tetsu
****・機関研究員
専門分野
  • 文化人類学
各個研究
個人ホームページ

※2009年2月28日をもって本館を退職いたしました。

経歴

学歴
  • 早稲田大学教育学部入学(1991)
  • 早稲田大学教育学部卒業(1995)
  • 立教大学大学院文学研究科博士課程前期入学(1995)
  • 立教大学大学院文学研究科博士課程前期終了(1997)
  • 立教大学大学院文学研究科博士課程後期入学(1998)
  • 立教大学大学院文学研究科博士課程後期満期退学(2004)
職歴
  • 立教大学文学部ティーチングアシスタント(1998)
  • 立教大学全学共通カリキュラムティーチングアシスタント(1999)
  • 立教大学アジア地域研究所研究員(2004)
  • 日本学術振興会特別研究員(東京外国語大学特別推進COE)(2005)
  • 国立民族学博物館機関研究員(2006.3-)

学位

  • 博士(文学)(立教大学、2004年)
  • 学位論文名:『パプアニューギニアをめぐる華人の国際移動とエスニシティの文化人類学的研究』

専門分野

文化人類学

研究のキーワード

パプアニューギニア、オーストラリア、マレーシア、華人、オラン・ウル、文化人類学

研究課題

生活世界のグローバル化とローカル化に関する文化人類学的研究

現在の研究上の関心

グローバル化が進行する現代世界の中で、ローカルな社会集団がどのような変容を遂げているのかを文化人類学的に把握することを研究テーマとしている。そのための事例として中国系移民とその子孫(華人)に注目し、そのコミュニティと活動を研究対象としてきた。特に華人のトランスナショナルな活動や、他の民族集団との相互交渉が、それぞれの華人の生活様式や自己認識に与える影響に着目した研究を行ってきた。具体的な研究テーマは以下の通りである。
1. パプアニューギニアの華人社会の文化人類学的研究
現在のパプアニューギニアには、東・東南アジア諸国から華人が流入する一方で、オーストラリアやニュージーランドへと再移住する華人も存在する。こうしたパプアニューギニアにおける華人の国際移住の特徴を把握するために、コミュニティ活動や宗教組織を対象とした調査を行っている。
2. マレーシア、サラワク州における華人と先住民族の相互関係
マレーシア華人は現在のパプアニューギニアに流入する華人の中でも主要な一グループである。こうした華人はパプアニューギニアで他地域の華人やメラネシア人と接触する以前から、マレーシアでマレー人やイバン、オラン・ウルといった先住民族とも接触して来た経験を持つ。これらの先住民と華人との相互交渉が、グローバル化の過程でどのような変容を遂げているのかに注目した調査を行っている。
3. ネイティブ・アンソロポロジストに関する基礎的研究
華人を対象とした文化人類学的な研究は、非華人の研究者のみではなく、華人自身によってもなされている。このように、文化人類学の研究対象となってきた人々自身が、自らも研究を行う主体となるという現象は、現在、世界各地で見られる。こうした現象を捉えるために、ネイティブ・アンソロポロジストを対象とした先行研究の把握とその整理を行っている。

所属学会

日本文化人類学会、日本オセアニア学会、東南アジア学会、日本華僑華人学会、「宗教と社会」学会、立教大学史学会

主要業績

2005
「華人のエスニシティと宗教―オーストラリアにおけるパプアニューギニア出身華人のキリスト教団体―」『宗教と社会』第11号(「宗教と社会」学会)、3‐24頁。
2005
「マレーシアにおける都市再開発と華人墓地―マラッカおよびクアラルンプールの華人墓地保存論争―」『史苑』(立教大学史学会)第65巻第2号、29-54頁。
2004
「マレーシア華人の国際的な活動領域にみるローカルなネットワーク―パプアニューギニアにおける活動を事例として―」『華僑華人研究』(日本華僑華人学会)第1号、58-77頁。
2003
「パプアニューギニアにおける華人の移動とコミュニティの変遷過程」『アジア・アフリカ言語文化研究』(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)65:181-206.
2001
「マレーシアおよびシンガポールの華人社会の宗教的シンクレティズム再考」『史苑』(立教大学史学会)62(1):71-95.

研究業績

論文
2009
'The Role of Religion in Chinese Subethnicity: Christian Communities of Papua New Guinean Chinese in Australia' People and Culture in Oceania 24:31-50 (The Japanese Society for Oceanic Studies).
2008
「混血から見るグローカリゼーション―パプアニューギニアにおける華人の土着化の諸相―」須藤健一編『オセアニア島嶼国におけるグローカリゼーションと国民文化に関する人類学的研究』(文部科学省科学研究費補助金研究プロジェクト報告書)神戸大学、34-51頁。
2008
「人の移動の交差点としてのコミュニティ―パプアニューギニアをめぐる華人の国際移動―」人の移動と文化変容研究センター編『国際的な人の移動と文化変容』ハーベスト社、204-219頁。
2007
「サブ・エスニシティ研究にみる華人社会の共通性と多様性の把握」『華僑華人研究』(日本華僑華人学会)第四号、69-80頁。
2006
「ライフヒストリーを通してみた華人ネットワークの包摂性と排除性―パプアニューギニアをめぐる華人の国際移動を事例として―」『文化人類学研究』(早稲田大学文化人類学会)第7号、97-124頁。
2006
'Chinese in Papua New Guinea: Strategic Practices in Sojourning.' Journal of Chinese Overseas 2(1):111-132.
2005
"The Chinese Experience during the Japanese Occupation in New Guinea." People and Culture in Oceania 21:1-18. (The Japanese Society for Oceanic Studies)
2005
「華人のエスニシティと宗教―オーストラリアにおけるパプアニューギニア出身華人のキリスト教団体―」『宗教と社会』第11号(「宗教と社会」学会)、3‐24頁。
2005
「マレーシアにおける都市再開発と華人墓地―マラッカおよびクアラルンプールの華人墓地保存論争―」『史苑』(立教大学史学会)第65巻第2号、29-54頁。
2005
「アンソロポロジー・アット・ホームとネイティブ・アンソロポロジスト」中西裕二編著『自社会研究としての人類学の確立にむけた基礎的研究』(文部科学省科学研究費補助金研究プロジェクト報告書)福岡大学。
2005
「華人ネットワーク論に見るジェンダー・バイアスの再検討―国際移住における親族及び姻族ネットワークの文化人類学的研究に向けて―」『立教大学ジェンダーフォーラム年報』第6号、33-43頁。
2004
"Malaysian Chinese Migration to Papua New Guinea and Transnational Network." The Journal of Malaysian Chinese Studies.(7):99-113.
2004
「マレーシア華人の国際的な活動領域にみるローカルなネットワーク―パプアニューギニアにおける活動を事例として―」『華僑華人研究』(日本華僑華人学会)第1号、58-77頁。
2004
「生活世界のグローバル化と華人のローカルなネットワーク」豊田由貴夫編『生活世界から捉えるグローバル/ローカル化の動態に関する地域間比較研究』(立教大学学術推進特別重点資金単独研究科プロジェクト研究成果報告書)立教大学、80-89頁。
2004
『パプアニューギニアをめぐる華人の国際移動とエスニシティの文化人類学的研究』立教大学大学院文学研究科博士論文。
2003
「家族の戦略としての移住と世代間に見る差異と連続―パプアニューギニアの華人社会を事例として―」『南方文化』(南方文化研究会)30:45-66.
2003
「マレーシアにおける華人の同郷会館の変遷過程―グローバリゼーションとの関連から―」梅原弘光編『グローバリゼーション下の東南アジアの社会変容と地域変化』(文部科学省科学研究費補助金研究プロジェクト報告書)立教大学、174-199頁。
2003
「パプアニューギニアにおける華人の移動とコミュニティの変遷過程」『アジア・アフリカ言語文化研究』(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)65:181-206.
2002
「パプアニューギニア、ポートモレスビーの華人社会―定住と移動にみる生活戦略―」吉原和男・鈴木正崇編『拡大する中国世界と文化創造―アジア太平洋の底流―』弘文堂、446-457頁。
2001
「ニューギニア華人にとっての太平洋戦争」『オセアニア学会NEWSLETTER』(日本オセアニア学会)71:1-8.
2001
「マレーシアおよびシンガポールの華人社会の宗教的シンクレティズム再考」『史苑』(立教大学史学会)62(1):71-95.
2001
「船橋の都市化と民俗の変化」船橋市史編纂委員会編『船橋市史―民俗・文化財編―』船橋市、13-34頁。
2000
「パプアニューギニアのマレーシア華人―東南アジア・太平洋島嶼地域間における人の移動の一事例―」『RUGAS:立教大学地理人類学研究』(立教大学地理人類学研究会)18:54-64.
2000
「同郷会館の国際化と現地化―シンガポール及びマレーシアの福建会館を事例として―」『史苑』(立教大学史学会)61(1):9-31.
1999
「ネイティブ・アンソロポロジストと人類学の民俗学化」『RUGAS:立教大学地理人類学研究』(立教大学地理人類学研究会)17:1-14.
1998
「マレーシア華人の同郷会館の国際化―中国・マレーシア関係の推移との関わりから―」『史苑』(立教大学史学会)59(1):94-108.
1997
「会館とマレーシア華人社会の多様性―スランゴール州およびクアラルンプールを事例として―」立教大学大学院文学研究科地理学専攻修士論文。
1995
「華僑社会のエスニシティに関する一考察」『RUGAS:立教大学地理人類学研究』(立教大学地理人類学研究会)13:1-24.
口頭発表
2009
'The Meaning of Religion and Language in Chinese Subethnicity' at international conference "The 7th Annual Hawaii International Conference on Arts and Humanities" (Honolulu, Hawaii,USA)(10th of January, 2009)
2008
'Religion as Diacritic of Sub Ethnicity: A Case Study of Papua New Guinean Chinese Community in Australia' at International Conference on "Globalization: Culture, Institutions and Socioeconomics" organized by The Chinese University of Hong Kong and Washington University in St. Louis. (The Chinese University of Hong Kong)(12th of December, 2008)
2008
‘From Sarawak to Papua New Guinea: The transnational Social Space of Malaysian Chinese’ at “Biennial Conferences of Borneo Research Council 9th” (University of Malaysia, Sabah. Malaysia) (29th of July, 2008)
2007
「トランスナショナルな社会空間におけるエスニシティ―パプアニューギニアの華人を事例として―」日本華僑華人学会第五回大会、パネル「中国系移民の土着化・クレオール化・華人化についての歴史人類学」(パネル代表:三尾裕子・東京外国語大学)、於・慶應義塾大学(2007.11.17)
2007
'Diversification of Ethnic Chinese Identities in Transnational Social Space: Conparative Studies of Malaysian Chinese and Papua New Guinean Chinese' at "International Convention of Asia Scholars 5" (Kuala Lumpur Convention Centre, Malaysia) (2nd of August, 2007)
2007
'Transnational Social Space Based on Local Network: Migration of Malaysian Chinese and Papua New Guinean Chinese' at internaitonal symposium "Symposium on the Human Migration and Acculturturation in the Pacific Rim" (Rikkyo University Niiza campus) (14th of July, 2007)
2007
「人口移動と経済活動を通してみたマレーシア、サラワク州における華人の居住パターンの変化」日本文化人類学会第41回研究大会、 於・名古屋大学(2007.6.3)
2007
「パプアニューギニア、ニューアイルランド島の『混血華人』」 日本オセアニア学会第24回研究大会、於・東海大学海洋学部(2007.3.20)
2007
「オセアニア諸国における暴動と中国系住民」」日本オセアニア学会第24回研究大会フォーラム、於・東海大学海洋学部(2007.3.21)
2006
「世代と地域を通してみたマレーシア華人の多元的な現地化過程―サラワク華人のファミリーヒストリーを事例として―」第15回日本マレーシア研究会研究大会、於・立教大学新座キャンパス(2006.12.3)
2006
'Constructing the Emigrant's Village in Transnational Social Space: The Experience of Papua New Guinean Chinese.' at International Symposium "Crossing Disciplinary Boundaries and Re-visioning Area Studies: Perspectives from Asia and Africa" (Kyoto University Clock Tower Centennial Hall)(November 10, 2006).
2006
「『現地化』の諸相 ―ファミリー・ヒストリーを通してみたマレーシア、サラワクの華人社会の地域性―」日本文化人類学会第40回研究大会、於・東京大学(2006.6.3)
2004
「トランスナショナルな活動領域とローカルなネットワーク―マレーシア華人とパプアニューギニア華人の比較―」日本文化人類学会第38回研究大会、於:東京外国語大学。(2004.6.3)
2004
‘Sojourning as Strategic Practices of Ethnic Chinese in Papua New Guinea.’ at International Symposium, “Globalization as History” (at Rikkyo University).(2004.3.14)
2003
「家族の戦略としての移住とその変容過程―パプアニューギニア・オーストラリア間の華人の移住を事例として―」日本民族学会37回研究大会、於:京都文教大学。(2003.5.23)
2002
「ニューギニ・チャイニーズの形成過程―パプアニューギニアをめぐる華人の国際移動と民族集団内部の多様化―」日本民族学会第36回研究大会、於:金沢大学。(2002.6.1)
2002
「パプアニューギニア・オーストラリア間における華人の移動とコミュニティ」第19回日本オセアニア学会研究大会、於:筑波大学。(2002.3.22)
2001
TOYODA Yukio & ICHIKAWA Tetsu, 15 December 2001, ‘Chinese Memories of the Pacific War in New Guinea’ at International Symposium, “Pacific War in Papua New Guinea: Perceptions and Realities.”(at Rikkyo University)(2001.12.15)
2001
「パプアニューギニア華人にとっての移民母村のありかた」日本民族学会第35回研究大会、於:神戸大学。(2001.5.20)
2000
「パプアニューギニア・ポートモレスビーの華人社会―移動と定住にみる生活戦略―」日本民族学会第34回研究大会、於:一橋大学。(2000.5.20)
1999
「パプアニューギニアの華人―その地域的特徴―」立教大学史学会1999年度秋季大会、於:立教大学。(1999.11.27)
1998
「マレーシア華人の同郷会館の国際化―中国・マレーシア関係の推移との関わりから―」立教大学史学会1998年度春季大会、於:立教大学。(1998.6.27)

代表者を務めた研究・プロジェクト

科研「パプアニューギニアにおける森林開発を通してみたマレーシア華人のネットワーク」(2007-)

関連ページ

World watching from Papua New Guinea「パプアニューギニアからみるグローバリゼーション」〈みんぱくe-news64号〉