国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

会社文化のグローバル化に関する人類学的研究

共同研究 代表者 中牧弘允

研究プロジェクト一覧

2002年度

会社文化の共同研究ではこれまでサラリーマン、企業博物館、会社儀礼を主たるテーマとしてとりあげながら、日本を中心に個別的に国際比較もこころみてきた。本研究は、そうした成果を継承しながら、グローバル化の問題に本格的に取り組むものである。グローバル化は情報、通信、金融、経済などさまざまな視点から議論されているが、本研究は会社という組織の文化的側面に焦点をあてながら、会社とグローバル化の相互浸透的諸相を明らかにすることを目的としている。第一には、会社組織が国際的に飛躍的発展をとげた時代、たとえば産業革命時のイギリス、20世紀初頭のアメリカ、高度経済成長期の日本において、世界観や価値観にかかわる文化がどのように認識され活用されたかを解明することであり、第二には目下進行中の地球的規模での会社化において文化がどのような役割を果たしているかを実証的に検証するこである。

【館内研究員】 近藤雅樹、田村克己、平井京之介、広瀬浩二郎、山本匡
【館外研究員】 安達義弘、岩井洋、岩田龍子、宇野斉、片倉もとこ、樫尾直樹、近藤みどり、澤木聖子、澤野雅彦、塩路有子、杉谷眞佐子、砂川和範、住原則也、高尾義明、曹斗変、出口竜也、出水力、野口智子、端信行、晨晃、日置弘一郎、廣山謙介、前川啓治、三井泉、森雄繁、米山俊直
研究会
2002年5月25日(土)10:30~(第6セミナー室)
坂田博美「手芸店における顧客関係:零細小売商のマーケティング活動はグローカル化できるのか」
出水力「ホンダの経営開発システムのグローバル化に関する事柄について」
晨晃「カルフール in China」
2002年7月13日(土)10:30~(第6セミナー室)
市川文彦「フランスのビジネス・マンと[社食]事情:[社食]から展望しうるもの」
片倉もとこ「会社文化と礼拝:グローバリゼイションとイスラーム世界」
森雄繁「グローバル時代のキャリアづくり」
2002年10月5日(土)13:00~(大演習室)
塩路有子「英国における陶器文化:コッツウォルズ地域の事例を中心に」
廣山謙介「British Salt Museumとチェシャー盆地での岩塩利用製塩について ─ スコットランドやマードンでの海塩生産と比較して」
中牧弘允「ビール博物館の日英比較」
住原則也「生き残りをかけた日本酒地酒メーカーの海外展開の現状」
2002年11月30日(土)10:30~(大演習室)
澤野雅彦「英国の自動車博物館とトラスト」
日置弘一郎「グローバル=ローカルの経営学視点」
三井泉「クエーカー企業の調査(2)ロウントリー財団」、「リーバとポートサンライトヴィレッジ」
住原則也「スコッチウィスキーのビジターセンターの比較調査:シングルモルトの共通性と多様性の醸成」
ルエラ・マツナガ「Contested Identities: Yaohan in the UK」
2002年12月20日(金)13:30~(第6セミナー室)
砂川和範「イノベーション導入における合理的選択の罠 ─ イギリス民間部門における標準化技術の移転過程 1861-1914」
ルエラ・マツナガ「コメント」
山本匡「サイバープロフェシーのグローバル経営情報的位相 ─ 会社文化に巫女を見つける」
2003年1月25日(土)13:30~(第6セミナー室)
澤木聖子「中国新国有企業の国際化と人的資源管理の現在 ─ 海路爾の事例を通じて」
樫尾直樹「日系宗教のグローバル化と『経営』 ─ 崇教真光と世界救世教」
2003年2月28日(金)16:00~(第3セミナー室)
金森剛「マーケティングコミュニケーションとしてのネットコミュニティ ─ 企業と消費者の共感関係の構築」
山田孝子「コメント」ゼイションとイスラーム世界」
2003年3月1日(土)10:30~(第3セミナー室)
宇野斉「メディア・プランニングの独立に向けて ─ 広告代理店の新展開 ─」
高尾義明「組織の境界/結界の組織とリスク/危険」
研究成果

『企業博物館の経営人類学』は研究会が終了して6年後に刊行された成果報告である。この間、引き続き後続の共同研究会でも企業博物館に関する報告が行われ、さらに海外調査もなされ、それらも含めて編集されている。研究会メンバーが訪問調査した企業博物館は150を超えると推定される。

第1部では会社の神殿としての把握、次いで個人顕彰との関係、さらには技術伝承の視点から企業博物館を一般的に分析しようとしている。第2部では原子力発電所展示館、酒・焼酎・醤油の企業博物館、ホンダやトヨタの博物館など日本の企業博物館を個別的に検討し、第3部では韓国、中国、香港、ヨーロッパの特色ある企業博物館を取り上げている。巻末には641の企業博物館リストを付けた。

2001年度

会社文化の共同研究ではこれまでサラリーマン、企業博物館、会社儀礼を主たるテーマとしてとりあげながら、日本を中心に個別的に国際比較もこころみてきた。本共同研究は、そうした成果を継承しながら、グローバル化の問題に本格的に取り組むものである。グローバル化は情報、通信、金融、経済などさまざまな視点から議論されているが、本共同研究は会社という組織の文化的側面に焦点を当てながら、会社とグローバル化の相互浸透的諸相をあきらかにすることを目的としている。第一に、会社組織が国際的に飛躍的発展をとげた時代、たとえば産業革命時のイギリス、20世紀初頭のアメリカ、高度経済成長期の日本において、世界観や価値観にかかわる文化がどのように認識され活用されたかを解明することを。第二に、目下進行中の地球的規模での会社化において文化がどのような役割りを果たしているかを実証的に検証することを目的とする。

【館内研究員】 王向華、近藤雅樹、田村克己、平井京之介、山本匡
【館外研究員】 安達義弘、岩井洋、岩田龍子、宇野斉、片倉もとこ、近藤みどり、澤木聖子、澤野雅彦、杉谷眞佐子、砂川和範、住原則也、曹斗変、出口竜也、出水力、野口智子、端信行、晨晃、日置弘一郎、廣山謙介、前川啓治、三井泉、森雄繁、山田慎也、米山俊直
研究会
2001年5月25日~26日
中牧弘允「研究目的とメンバー紹介」
曺斗変「北米自動車産業と日本型生産システム──Quality without Commitment?」
王向華「歴史の中の文化、文化の中の歴史──ヤオハンの中国進出の事例」
近藤(島本)みどり「酒の企業博物館」
コメンテーター:住原則也
2001年6月22日
ジョン・マックリーリー「働き蜂から慎重な消費者へ──日本の消費者の変身」
米山俊直「モロッコの古都にみる会社文化」
2001年7月14日
前川啓治「マクドナルドとグローバリゼーション」
Glenda RobertsWork / Life Policy Comes to Japan: Multinational Corporation
2001年7月18日
澤野雅彦「大学生の就職活動について」
2001年10月27日
岩井洋「宗教経営学ことはじめ」
2001年12月21日~22日
杉谷眞佐子「企業における日独対人コミュニケーションの葛藤──『議論文化』をめぐる価値観の変容」
中牧弘允「イギリス調査の概要」
三井泉「創業精神の行方──キャドバリーワールド」
住原則也「企業活動と宗教の関係──英国産業革命とクエーカー教徒企業家群を事例として」
中牧弘允「ミュージアムとビジターセンター」
日置弘一郎「イギリス陶器企業のビジターセンターと博物館」
廣山謙介「ストーク・オン・トレントの家族経営窯業──Dudson窯の事例」
塩路有子「英国における陶器の使用と継承──コッツウォルズ地域の事例を中心に」
澤野雅彦「英国の自動車博物館」
2002年1月8日
共同研究打ち合わせ
2002年1月26日
岩田龍子「エスニック文化と企業行動──マレーシアの場合」
山田慎也「葬祭業のグローバル化──エンバーミングとISOを中心として」
2002年3月2日
砂川和範「テレビゲームの考古学──マージナルな会社文化のグローバル化」
出口竜也「回転寿司のグローカリゼーション──システムのグローバル化とソフトのローカル化を中心に」
研究成果

本研究は、会社という組織の文化的側面に焦点をあて、会社とグローバル化の相互浸透的諸相を明らかにすることを目的としている。会社組織が国際的に飛躍的発展をとげた時代に、世界観や価値観にかかわる文化がどのように認識され、活用されたかについて、イギリスの伝統産業や企業活動と宗教の関係などを通して共同で調査研究した結果を発表した。また、現在進行中の地球規模での会社文化において文化がどのような役割を果たしているかについて、マクドナルド、葬祭業、回転寿司、テレビゲームなどといったトピックや、モロッコ、マレーシアなどの事例と日本との比較をおこなった。