国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

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2009年10月9日(金)
国立民族学博物館公開講演会「人・家畜・感染症―グローバル化時代の関係をさぐる」
  • 主 催:国立民族学博物館・日本経済新聞社
  • 日 時:2009年10月9日(金) 18:30~21:15(開場17:30)
  • 場 所:日経ホール(東京都千代田区大手町1-3-7日経ビル3階)
  • 定 員:600名
  • 参加費:無料

☆手話通訳あり

今日の私たちの豊かな食生活や暮らしは、世界各地で生産される肉、乳製品、皮や毛などの家畜が産み出すものに支えられています。いっぽうで、家畜などの動物から人に感染する、新型インフルエンザのような病気もグローバル化とともに増えています。人と家畜の関係をとおして、21世紀における地球環境を展望します。

 

プログラム

17:30~18:30 受付
18:30~18:35(5分) 開会 日本経済新聞社大阪本社編集局長 川合英雄
18:35~18:40 (5分) 挨拶 国立民族学博物館長 須藤健一
18:40~19:15 (35分) 講演1 池谷和信「人は家畜とどのようにつきあっているか?」
19:15~19:50 (35分) 講演2 喜田宏「人獣共通感染症をいかに克服するか ーインフルエンザを例にー」
19:50~20:05 (15分) 休憩
20:05~20:40 (35分) 講演3 野林厚志「ブタの弁明―弥生ブタからイベリコブタまで」
20:40~21:15 (35分) パネルディスカッション 池谷和信×喜田宏×野林厚志
司会:南真木人
 

講演1「人は家畜とどのようにつきあっているか?」

池谷和信(民族社会研究部 教授)

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現代社会では、食生活のなかで肉や卵を利用しているが、家畜に接する機会は少なくなった。一方で、放し飼いから舎飼いへと家畜の飼い方は発展してきた。今回のインフルエンザが生まれた背景には、ウイルスの温床となった工場式の畜産があったといわれる。バングラデシュのブタの遊牧など、持続可能な資源利用のあり方を通して、地球時代における家畜と人とのつきあい方を問い直す。

<講師紹介>
野生動物、家畜、ペットなどの動物と人とのかかわりについて、地球的視野および人類史的視点から研究を行っている。近年では、バングラデシュのブタの遊牧やタイの野生の鶏に関する調査・研究に従事。単著に『現代の牧畜民』(05年、古今書院)、『山菜採りの社会誌』(03年、東北大学出版会)、編著に『野生と環境』(08年、岩波書店)などがある。

 

講演2「環流する〈インド〉-海外在住インド人のインパクト」

喜田宏(北海道大学 人獣共通感染症リサーチセンター長)

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近年、新興・再興感染症が世界各地で発生し、社会を脅かしている。その多くは、野生動物を自然宿主として寄生・存続してきた微生物が病因である。このような人獣共通感染症は、自然界の野生動物と微生物の生態系を解明し、予測と予防を図る先回り戦略によってはじめて克服され得る。

<講師紹介>
インフルエンザウイルスの生態に関する研究などに対し、日本農学賞・読売農学賞、日本学士院賞ほかを受賞。日本学士院会員。国内にあっては、政府審議会の専門委員として、国際的には、WHO、FAOとOIEの科学委員や、レファレンス研究所の責任者として動物とヒトのインフルエンザ克服に向け活動している。

 

講演3「ブタの弁明―弥生ブタからイベリコブタまで」

野林厚志(文化資源研究センター 准教授)

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ユーラシアの東部と西部とで別々に家畜化されたブタは非常に重要な家畜となってきた。一方で、宗教的に不浄な動物とされたり、悪口の材料とされたりと、ブタは多面的な価値をもつ動物でもある。流通革命に伴う大量消費時代の今日、変わりつつある人間と家畜との関係を中国やヨーロッパのブタ飼養の様子をもとに考えてみる。

<講師紹介>
人間と動物との関わりについて、人類学の視点から調査研究を行っている。最近は、ブタが人間社会の中でどの ような位置づけとされてきたかを東アジアとヨーロッパの比較研究を通して考えている。単著に『イノシシ狩猟 の民族考古学』(08年、御茶の水書房)、共著に『生態資源と象徴化』(08年、弘文堂)などがある。

 

当日の様子

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