国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

研究会・シンポジウム・学会などのお知らせ

2012年1月28日(土)
《機関研究成果公開》国際シンポジウム「ケアと育みの人類学の射程」

  • 日時:2012年1月28日(土) 13:00~18:00
  • 場所:国立民族学博物館 第4セミナー室
  • 言語:日本語
  • 定員・参加費: 70名・無料
  • お問い合わせ(E-mail): life★idc.minpaku.ac.jp 
     ※★を@に置き換えて送信ください。
  • 主催:国立民族学博物館
  • チラシダウンロード[PDF:560KB]
 

趣旨

高齢化や人々の移動により文化や価値観の多元化が進行する社会で、人々は何を拠り所として時空間を共有し、文化を伝達してゆけるのか。機関研究プロジェクト「ケアと育みの人類学」は、ライフコースにおける諸課題に応えるために紡がれてきた多様な文化に焦点をあてることにより、共生の諸要素について検討している。特に、他者や自己のウェルビーイングへの配慮としての「ケア」を人々が希求し実践することが、時空間を共有し文化を伝達するという共生のあり方と深く関わってきたという観点から、基盤となるケアと育みの思想と実践に注目して、共生・協働のしかけとしての様相および多文化共生への具体的な方途を提示し、領域横断的共同研究によって人間文化研究を深化させることが目的である。
本シンポジウムは、近年、とりわけ教育学研究において、「育み」という語によって表現される、近代以降の学校教育に包括されない「教育 education」の営みに注目する。その中で、ライフコースにおけるウェルビーイングに配慮した、人や環境への働きかけを構成する諸要素を検討することが目的である。すなわち、「教育 education」という語の変動を辿り、“education”が、(1)「産育」や「育み」という言葉で表現されてきた領域を包括し、(2)さらに生を養う「養生」の実践を含んでいたことについて議論を深める。これらの作業をとおして、「治療cure」や解決しつくされない人生を生きるための「癒し」、「祈り」、「占い」をも含む諸実践とその構成をも視野に収めたライフコースにおける協働性について、文化人類学、教育学、歴史学、宗教学などの領域横断的研究を進める意義を明示する。

プログラム

13:00~13:05 開会の辞 鈴木七美(国立民族学博物館先端人類科学研究部教授)
13:05~13:10 館長挨拶 須藤健一(国立民族学博物館)
13:10~13:40 趣旨説明 鈴木七美
「養生から共生へ」
13:40~14:30 基調講演 渡部昭男(神戸大学大学院)
「地域が学校を取り戻す」
コメント:谷口陽子(専修大学)/洪賢秀(東京大学)
14:30~14:40 休憩  
14:40~15:30 特別講演 山田千香子(長崎県立大学)
「流通と往来の島に吹く風―島人が育んだ自然と文化と人の力」
コメント:金本伊津子(桃山学院大学)/河西瑛里子(国立民族学博物館・外来研究員〔学術振興会特別研究員〕)
15:30~16:20 特別講演 白水浩信(神戸大学大学院)
「教育・福祉・統治性――能力言説を越えて」
コメント:助川晃洋(宮崎大学)/藤原久仁子(大阪大学大学院)
16:20~16:30 休憩  
16:30~18:00 全体討論 コメント:石田慎一郎(首都大学東京)/丹羽典生(国立民族学博物館研究戦略センター助教)
18:00~18:05 閉会の辞 鈴木七美