国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

研究会・シンポジウム・学会などのお知らせ

2013年1月26日(土)
《機関研究成果公開》国際シンポジウム「グローバル化における紛争と宗教的社会運動―オセアニアにおける共生の技法」

チラシダウンロード[PDF:2.19MB]
  • 日時:2013年1月26日(土) 
  • 場所:国立民族学博物館 第4セミナー室
  • 言語:日本語、英語(同時通訳付)
  • 主催:国立民族学博物館
  • 後援:日本文化人類学会、日本オセアニア学会
  • 定員・参加費:70名、無料(要事前連絡)
  • 参加申込・お問い合わせ先:
    紛争と宗教シンポジウム事務局
    〒565-8511 大阪府吹田市千里万博公園10-1
    c0126★idc.minpaku.ac.jp ※★を@に置き換えて送信ください。
    FAX:06-6878-7503
 

趣旨

本館の機関研究プロジェクトである「ケアと育みの人類学」においては、文化や価値観が多元化するなか、ケアや育みを通じて培われ継承されていく共生の技法について検討すると同時に、多文化共生への具体的方途を呈示することが趣旨の一つである。またこの作業を通じて、現代社会の諸課題を考察するうえで不可欠の資料を提示しつつ、人間文化研究を深化させることを目的としている。  
民族自決、デモ、暴動からストライキまで表出形態は異なれ、冷戦以降、グロー バル化が加速化する中、世界各地で紛争や宗教的社会運動が巻き起こり、多文化・多民族共生の在り方があらためて厳しく問われている。本シンポジウムの目的は、近年のグローバル化のなかで生起している紛争や宗教運動を、<人々による生きる場を確保する運動>ととらえ返し、多元化の波にさらされている人びとが共生の空間をいかに形成しているのか、その現代における特質や意義を比較検討することである。本シンポジウムでは、地域的にはオセアニアの事例を中心的に取り扱うが、地域限定の課題へと内閉しないために、コメンテーターには他地域の研究者を招いている。  
紛争や社会運動は、植民地時代における、民族自決運動、ナショナリズムから脱植民地期以降に多く生起している紛争や暴動まで、時代や地域を横断して生起 している事象である。本シンポジウムでは、なかでもグローバル化のもと、アイデンティティの揺らぎや再編が加速度的に進行する時代背景のなかで、自生的秩序を形成する動きとしての社会運動の諸形態について、歴史的文脈に位置づける。また、それらから生み出される思想やあらたな実践の萌芽、およびそれらの変化の様態について民族誌的に比較することを目的としている。招聘した内外の研究者とともに、具体的な事例に基づいた議論を展開するとことで、対象への理解を深めていきたい。

プログラム

司会:飯高伸五
10:00~10:10 開会挨拶等
10:10~10:40 趣旨説明 丹羽典生(国立民族学博物館)
10:40~11:20 「変革期と宗教的社会運動――先住民主体の経済開発思想への期待と変遷」
丹羽典生(国立民族学博物館)
11:20~12:00 「カーゴカルト再考-社会運動から考えるメラネシアの近代性」
石森大知(武蔵大学)
12:00~13:00 昼食
13:00~13:40 「国家に挑戦する:ソロモン諸島におけるモロ運動と政治不安」
Tarcisius Tara Kabutaulaka(University of Hawaii)
13:40~14:20 「クーデタとカーゴ:ふたつの政治的プロジェクトの比較分析」
Dominik Schieder (Hitotsubashi University)
14:20~15:00 「カーゴポリネシア:フランス領ポリネシアにおいてジェンダーとナショナリズムを積荷する」
Deborah Elliston (Binghamton University)
15:00~15:15 休憩
15:15~15:55 「太平洋島嶼社会におけるカーゴカルトと政治的不安定性:希望の政治学に向けて」
Niko Besnier(University of Amsterdam)
15:55~16:10 「コメント:アラブからの視点」
斎藤剛(神戸大学)
16:10~16:25 「コメント:中央アジアからの視点」
藤本透子(国立民族学博物館)
16:25~17:10 全体討論