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2015年3月10日(火)
《機関研究成果公開》第5回国際ワークショップ「民族学資料の展示への利用とソースコミュニティとの協力関係」 -
- 日時:2015年3月10日(火)10:00 - 18:00
- 場所:国立民族学博物館 第4セミナー室
- 研究者対象(参加無料/申込不要/定員:20名[先着順])
- 使用言語:ロシア語、英語(いずれも同通あり)
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お問い合わせ先:
国立民族学博物館 佐々木研究室
〒565-8511 吹田市千里万博公園10-1
TEL 06-6876-2151 FAX 06-6878-7503
e-mail: ssasaki★idc.minpaku.ac.jp
※★を@に置き換えて送信ください。
趣旨
国立民族学博物館とロシア民族学博物館との間の国際共同研究という形で進めてきた機関研究「民族学資料の収集・保存・情報化に関する実践的研究:ロシア民族学博物館との国際共同研究」も3年目を迎えた。初年度に民族学資料の保存管理と修復の諸問題、2年度目には民族学博物館の資料類の情報化とデジタル化の諸問題を検討し、最終年度の今年度は民族学博物館における展示の諸問題を検討する。
本館の展示の基本方針である「フォーラムとしての博物館」と「同時代の展示」を実現していくためにはどうしても展示される文化を持つ人々、あるいはそれに関する資料やデータを博物館に提供してくれた人々との協力関係の構築が不可欠である。そのような人々の社会は近年「ソースコミュニティ」source communityと呼ばれるようになっている。しかしながら、ソースコミュニティも博物館も千差万別であり、その協力関係の築き方もさまざまである。本館でも主に館員の伊藤敦規が北米の先住民族を対象に、収蔵資料データの充実と発信のためのソースコミュニティとの協力関係の構築を行っている。また、本館では展示に際して、例えばアイヌ文化展示のように、70年代から同様の試みを行ってきた。しかし、それを意識的に始めたのは近年であり、まだ手探り状態にある。したがって、他の国の博物館の事例と比較することで、より明確な方針を決めることが可能になると同時に、そのための理論的な基礎を固めることも可能になる。
国立民族学博物館のように、一定規模の予算と巨大な展示・収蔵スペース、膨大な数の各種資料を有する博物館が、大小さまざまなソースコミュニティとどのような協力関係を結ぶのかという問題は、日本ではまだそれほど注目されておらず、事例も少ない。本ワークショップでは、従来からそのような協力関係を抜きにしては活動できなかったロシアとアメリカ、そして日本と同様に近年そのような関心を持ち始めた韓国の、「国立」もしくはそれと同レベル以上の規模と経営母体を持つ博物館の事例との比較研究を行う。そして、そこから博物館とソースコミュニティの関係を考え直してみたい。それは、本館の展示新構築や今後の特別展示、企画展示、あるいは収蔵資料データの充実、発信などの活動に資するとともに、我が国の文化人類学、民族学、あるいは博物館の資質が問われる事業となり得る、「国立のアイヌ文化博物館」(仮称)の構想を考える上でも重要な点となるだろう。
プログラム
10:00 - 10:20 開会 10:20 - 10:40 趣旨説明
佐々木史郎(国立民族学博物館)10:40 - 11:30 ヴェトナムへの旅―ニューヨークの博物館とハノイの博物館がいかに協力して展示を制作したのか
Laurel Kendall(アメリカ自然史博物館[アメリカ])11:30 - 12:10 国立民俗博物館による漁村展示の成果と将来像―ソースコミュニティの参加と協力の視点から
奇亮((国立民俗博物館[韓国])12:10 - 13:00 昼食 13:00 - 13:40 ロシア民族学博物館の展示活動
Elena Gerasimenko(ロシア民族学博物館[ロシア])13:40 - 14:20 巡回展示―ロシア民族博物館の新たな取り組み
Viktoriia Pervak(ロシア民族学博物館[ロシア])14:20 - 15:00 シベリア諸民族の文化の保存と振興における博物館の役割
Irina Karapetova(ロシア民族学博物館[ロシア])15:00 - 15:20 コーヒーブレイク 15:20 - 16:00 博物館と地域―民具、考古学資料、ものづくり(仮題)
角南聡一郎(元興寺文化財研究所)16:00 - 16:40 失敗から学ぶ―ソースコミュニティと研究者の間の誤解
太田心平(国立民族学博物館)16:40 - 17:10 「国立のアイヌ文化博物館」(仮称)の基本構想
佐々木史郎(国立民族学博物館)17:10 - 17:50 総合討論 17:50 - 18:00 閉会