研究会・シンポジウム・学会などのお知らせ
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2005年12月3日(土)
~12月4日(日)
公開研究会「第2回研究会:アフリカ地域の開発 」 -
- 日時:2005年12月3日(土)~12月4日(日)
趣旨説明
共同研究会「開発と先住民族」の第2回研究会(12月3、4日)は、アフリカ地域における開発援助を取り上げる。なお、アフリカ諸国・地域においては、人口移動の歴史的経緯を考慮すると「先住民族」という概念が馴染まない場合があり、また、開発援助がマイノリティへの支援に向かう国・地域とは事情が違って大多数の人々が貧困状態にある。そのため、ここでは狭義の先住民族に限定せず、幅広く地域住民と開発援助とのかかわりが研究対象となる。第2回研究会では、(1)各種公的機関、NGO等による援助事業に携わる開発実務の専門家ならびに被援助国で民族誌的調査を進める研究者による事例報告、(2)アフリカ開発をめぐる実態理解・問題提起のための情報交換と討論、(3)アフリカ以外の地域に関わる実務者・研究者を交えた比較検討を行う。
アフリカ諸国の多くは、ミレニアム宣言(MDGs)に示された数値目標を期限(2015年)までに達成することが不可能と見込まれている(2005年9月に発表された人間開発報告書における177国中154位という「格付け」はケニアの人々を落胆させた)。これに対し、最近では、例えば2005年7月のグレンイーグルス・サミットにおいて、G8各国が政府開発援助の増額等の支援を表明した(「日本は、今後3年間でアフリカ向けのODAを倍増する」)。アフリカ開発をめぐる昨今の国際社会の動きは、新聞報道等によって被援助国の人々に伝えられており、事業拡充に対する期待は今後いっそう強まるものと予想される。
第2回研究会では、次に示すような観点から、開発援助事業のケーススタディーを行う。第一に、開発援助の実施機関について実態を理解しておく必要がある。個々の援助事業は、「同じ理想や目的を掲げていても、どの援助機関が支援しているかによってプロジェクトの性格や結果が違う」と考えられるためである(杉田 1999)。第二に、援助事業が現場の地域社会に対して与える影響が如何なるものであったかについて精査する。これには多様なアプローチがあるが(人類学については、例えば、足立 2001)、具体的な事例報告に即して実践的に検討していきたい。第三に、当該援助事業の立案・実施・評価の方法論について議論する。なお、長期にわたる地域社会への関与に基づく人類学の方法と知識が援助機関において採用されたか、あるいはその余地があるとすれば如何なるものであったかといった点を含め、開発援助の方法論をめぐる実務と研究の接点について議論したい(例えば、松園 1999,重田 2001)。
国際協力機構(JICA)の刊行物(2005)は次のようにいう。「2003年10月以降、JICAは緒方貞子新理事長のリーダーシップの下で、「現場主義」、「人間の安全保障」、「効果・効率、迅速性」という3つの柱によって事業と組織を見直し、新たな改革に取り組んでいます。(中略)これにより、従来のスキーム(協力形態)・セクター別体制からMDGsなどの開発課題へのアプローチを強化させた課題別の実施体制に移行するとともに、MDGsの達成が困難といわれるアフリカへの協力を強化するため、アフリカ部を新設しました。」(国際協力機構 2005:12)第2回研究会ではJICAからも特別講師を招聘する。そこで、「アフリカ重視」を打ち出すJICAの基本方針、そのうち例えば南南協力(アジア・アフリカ協力、アフリカ域内の協力)の歴史的背景や可能性についても意見交換を行いたい。
プログラム
12月3日(土)
13:30~13:45 趣旨説明・自己紹介 13:45~14:30 第一報告
青木澄夫(中部大学国際関係学科)
「近代日本におけるアフリカ認識:援助や研究の前提として」14:30~15:15 質疑応答 15:15~15:30 休憩 15:30~16:15 第二報告
花谷厚(国際協力機構アフリカ部)
「貧困削減戦略(PRSP)体制下におけるアフリカ開発援助:わが国の対応と地方開発事業に対するインプリケーション」16:15~17:00 質疑応答 12月4日(日)
10:30~11:15 第三報告
若月利之(近畿大学農学部)
「西アフリカにおける水田開発:ナイジェリア・ヌペとガーナ・アシャンテにおける経験から」11:15~12:00 質疑応答 12:00~13:00 昼食 13:00~13:45 第二報告
箱山富美子(藤女子大学人間生活学部)
「ユニセフの開発援助プロジェクトの実例:スーダンとモーリタニアにおける女性支援・教育・衛生」13:45~14:30 質疑応答 14:30~15:15 第三報告
縄田浩志(鳥取大学乾燥地研究センター)
「開発援助事業に対する人類学の実践的貢献:スーダンにおける砂漠化対処プロジェクトと伝統的知識の重要性」15:15~16:00 質疑応答 16:00~17:00 総合討論 実行委員:松園万亀雄(民博)、縄田浩志(鳥取大学)、石田慎一郎(民博・学振特別研究員)
※このミニ・シンポは、大学・研究所の教職員、学生・研究生などを対象に公開いたします。お問い合せ
石田慎一郎 電話 06-6876-2151(内線2510)
国立民族学博物館外来研究員室B;10:00~19:00