国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

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2013年1月8日(火) ~1月9日(水)
国際研究フォーラム「【国際共同取材】中国・ロシア・モンゴル国のトゥヴァ人たち―テュルク系とモンゴル系のあいだ」

モンゴル国バヤンウルギー県ツェンケル郡での取材風景
  • 会期:2013年1月8日(火)~1月9日(水)
  • 場所:国立民族学博物館 第4セミナー室
 

趣旨

本館の開発提供してきたビデオテークは、研究者が取材に同行すること、研究資料として映像記録を残すこと、編集作業を経て一般的な映像番組としていること、という3点で、他の一般的な放送番組とは異なり、非常に貴重な情報資源である。にもかかわらず、開館以来30年余を経て、あまり知られなくなってしまっている。
このたび、トゥバと呼ばれるロシア、モンゴル、中国の3ヶ国にまたがって居住する民族に関して、現地の研究者がカウンターパートとして協力するばかりでなく、第三国をともに調査するという形で、4ヶ国の研究者が3ヶ国を共同で取材した。この成果は、取材に参加した研究者らによって、日本語のほかにロシア語・中国語・モンゴル語の計4カ国語版となり、現地に還元される予定である。国際共同取材と現地還元という新たな試みを紹介することで、ビデオテークそのものの貴重な存在価値を広く知っていただきたい。

プログラム

トゥバでは、マイナス54度の厳寒期を迎えるなか地震が発生し、12月21日に、人口3753人のホブアスキイという町の暖房システムがダウンしました。 このため、学校と幼稚園の児童を首都へ避難移送するため、予定していたトゥバ文部大臣ビチェルデイ夫妻の来日は延期となりました。また、モンゴル国からトゥバ人を代表して、科学アカデミー西方支部のゾルバヤル教授も来日できませんでした。ただし、国内のトゥバ研究者たちの参加を得て、予定どおり、8日と9日に開催しました。参加者各位にお礼申し上げます。なお、トゥバ文部大臣ビチェルダイ夫妻は、その後、2月6日から11日まで来日し、日本との学術交流について意見交換をおこなうという当初の目的を果たすことができました。交流のためにご尽力いただきました関係各位にお礼申し上げます。

1月8日(火)14:00~16:00

ビデオテークの製作過程を公開
2012年夏、ロシア、中国、モンゴルの3カ国にわたって居住するトゥバ人の生活を、現地研究者とともに共同で取材しました。その映像は2013年度に日本語番組のほかに各国語でも作成して現地でもご利用いただく予定です。その製作途中の様子を公開します。

14:00~14:10 挨拶 須藤健一館長
14:10~14:30 趣旨説明およびビデオテーク全般に関する説明 佐々木史郎教授
14:30~15:00 製作中ビデオの放映と解説 小長谷有紀教授
15:00~16:00 質疑応答(取材にかかわったトゥバ人研究者ゾルバヤルが応答します)
1月9日(水)11:00~13:00

モンゴル国科学アカデミー・バヤンウルギー研究支部長ゾルバヤル氏による講演(モンゴル語、日本語による同時通訳付)ゾルバヤル氏は、民族学を専門とする研究者で、モンゴル国のトゥバ人を代表する知識人です。彼の講演にひきつづき、料理に舌鼓をうちながら、立食パーティ形式で自由にご歓談いただきます。

11:00~12:00 基調講演
12:00~13:00 歓談(トゥバ料理をご賞味いただく予定です)

お問い合わせ先

国立民族学博物館 小長谷研究室
06-6878-8274(直通)                 
yuki@idc.minpaku.ac.jp

※水曜日は休館日および休園日ですので、入館方法について必ず事前に上記までお問い合わせください。

研究成果の概要

当初予定していたトゥバ人の来日日程の変更により、新聞社としてはわずかな参加にとどまったが、(1)トゥバそのものの紹介、(2)本館におけるトゥバ研究の紹介、(3)ビデオテークについての紹介、という3つの目的を果たすことができた。また、トウバ文部大臣夫妻の来日については、他の新聞でも紹介された。これらの記事に対する一般読者の反響がみられた。
本フォーラムでは、本館のビデオテーク番組『トゥバに魅せられた人びと』で撮影対象となった日本人研究者たちが集まり、今後の研究プロジェクトのターゲットが定まった。
なお、3カ国で取材したトゥバ語資料およびモンゴル語資料のテキスト化と校閲をおこなったので、これらをもちいて映像番組を作成する。