国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

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2019年3月1日(金)
学術潮流フォーラムⅡ 超域フィールド科学研究部・国際シンポジウム「歴史のロジックと構想力――世界のフィールドから」

チラシダウンロード[PDF:1.84MB]

  • 日程:2019年3月1日(金)
  • 場所:国立民族学博物館 第4セミナー室(本館2F)
  • 使用言語:日本語
  • 企画:国立民族学博物館 超域フィールド科学研究部
  • 主催:国立民族学博物館 超域フィールド科学研究部
  • 一般公開(参加無料/事前申込不要)
  • お問い合わせ
    超域フィールド科学研究部事務室(06-6878-8289)
 

趣旨

国立民族学博物館は、開館40周年を迎えた2017年に大きな改組をおこない、超域フィールド科学研究部は本館の基礎研究部門として新設された。そのミッションは、これまでに民博が培ってきた世界各地域にかんする豊富な民族誌的収集・展示・研究の実績を生かし、また世界各地域の研究者と協力しながら、地域、民族とディシプリンを超えたフィールド科学を構築することである。
本日の国際シンポジウムは、上記を踏まえ超域的フィールド研究のあり方を模索するものとして企画し、歴史記録の物質性、歴史構築のロジックと応用に焦点をあてることにより、人類学と歴史学の融合を図りつつ、世界各地で培ってきた民博のフィールドワーク力を生かして、人類社会の普遍性に関する新たな枠組みを提示することを目的としている。
人類学は長い間、無文字社会における口頭伝承や儀礼を、歴史として扱ってきたが、20世紀半ば以降、徐々に有文字社会も研究するようになった。その中で、歴史は一般的に、特定な人間集団にかかわる時系列の出来事の集積体としてとらえられ、しかも公式に文字化された「歴史」に対して、非公式の歴史の多くは無文字の「記憶」という対比の構造も見られがちである。 実際、個人、ローカル、ナショナル、トランスナショナルなレベルでさまざまな情報が交差する今日、歴史を記録及び記憶する主体が多様化し、その媒体も進化している。また、時代の変化にともない、各地域、民族などの歴史は、国民国家の一体性、集団のアイデンティティの構築、あるいは、権利の獲得など、さまざまな形で資源化されたり、あるいは忘却されたりもしている。
本シンポジウムは世界各地での現地調査や博物館における資料調査にもとづいて植物、文字・映像・標本・文献資料、語りなどを通して、世界各地における歴史を記録・記憶する媒体やかたちを整理し、歴史構築のロジックについて考える。また、人類の過去・現在・未来のつなぎ役としての歴史が、民族運動や市民運動などの文脈において展開される法則性も、超域の視点から明らかにするものである。

 

プログラム

9:30 - 受付開始
10:00 - 10:10 挨拶
吉田憲司(国立民族学博物館長)
趣旨説明
韓敏(国立民族学博物館)
基調講演
10:10 - 11:10 「東アジアにおける人類学と歴史学の交差」
麻国慶(中央民族大学)
「ポスト社会主義東南ヨーロッパにおける公共空間の利用と宗教復興」
ヴチニッチ-ネスコヴィッチ,ヴェスナ(ベオグラード大学)
セッション1:歴史を記録・記憶する媒体とかたち
 司会:樫永真佐夫(国立民族学博物館)
11:10 - 11:30 「モンゴルに関する画像記録を用いた地域像・歴史像の再構築」
小長谷有紀(国立民族学博物館)
11:30 - 11:50 「家族の記録と記憶のかたち――民博における東アジアの標本、映像と文献資料の分析」
韓敏(国立民族学博物館)
11:50 - 12:10 「人類歴史の記録としての植物」
ピーター・マシウス(国立民族学博物館)
12:10 - 12:30 コメント
佐佐木衛(神戸大学)
12:30 - 13:30 昼食
セッション2:せめぎあう宗教とアイデンティティの歴史
 司会:小長谷有紀(国立民族学博物館)
13:30 - 13:50 「歴史主体と帰属意識の罠――韓国プロテスタント教会における内部共生と物語の断絶」
太田心平(国立民族学博物館)
13:50 - 14:10 「起源の歴史的語りと民族の覚醒――ギリシア・カトリック信者のダブル・アイデンティティ」
新免光比呂(国立民族学博物館)
14:10 - 14:30 コメント
ロマン・パシュカ(神田外語大学)
14:30 - 14:50 休憩
セッション3:社会運動からみる歴史の展開
 司会:太田心平(国立民族学博物館)
14:50 - 15:10 「我々は、先住民の一部だ――フィジーの少数民族の歴史実践とその特徴について」
丹羽典生(国立民族学博物館)
15:10 - 15:30 「インドにおけるリプロダクションをめぐる女性運動――婚姻・産児制限・セクシュアリティ」
松尾瑞穂(国立民族学博物館)
15:30 - 15:50 「イタリアにおける食と市民運動」
宇田川妙子(国立民族学博物館)
15:50 - 16:10 コメント
森明子(国立民族学博物館)
16:10 - 16:30 休憩
16:30 - 17:30 総合コメント・全員討論