東地中海地域における文化的資源と共生の様態
2002年度
東地中海地域は古代における諸文明の黎明の地であり、その文明的な遺産は同地域の基層文化を形成してきた。エジプト、フェニキア、エーゲ海、ギリシア、ローマ、ビザンツ、そしてイスラームなどの諸文明はそれぞれの時代相を代表しているが、近代以降はヨーロッパとイスラーム世界の衝突の最前線となってきた。通時的には過去の諸文明が重層構造をなしており、共時的には複合的なモザイク状の社会を構成しているのがこの地域の重要な特徴である。しかし一方で、この地域では三大宗教が共有する聖書の伝統はもちろん、衣食住の生活文化においてもいわば共通の文化的資源がみいだされる。文化は相互に近似的でもあり、翻訳可能性が高いことも重要な事実である。本研究はまるで常態であるかのように紛争が続くこの地域での文化的共生の様態と可能性を探る。
【館内研究員】 | 臼杵陽、新免光比呂、森明子、米山知子、ピーター J. マシウス |
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【館外研究員】 | 赤堀雅幸、伊東一郎、宇野昌樹、大月康弘、北川誠一、黒木英充、佐原徹哉、篠野志郎、松前もゆる |
研究会
- 2002年12月20日(金)13:00~(大演習室)
- ファルジン・ヴァフダート「イスラムとヨーロッパの出あい ─ アメリカにおけるイラン系知識人の立場から」
研究成果
本研究会では、紛争が常態であるかのようにほとんど絶え間なく続くこの地域において、一方で広く共有されている文化的資源に注目し、諸集団の様態を探ってきたが、9.11以後、世界がパンドラの箱を開けたような状態に突入し、パレスチナ和平も破局に帰した現状では、この地域の歴史における対立や抗争の「負」の遺産も考えざるを得なくなった。米英国を中心としたイラク戦争という事態を控えて、ハーバード大学のイラン系アメリカ人研究者、ファルジン・ヴァフダート氏を招いて、市民公開で行った「イスラムとモダニティ」と題した研究会で、イスラムと西欧近代の関係を考察した。
2001年度
東地中海地域は古代における諸文明の黎明の地であり、その文明的な遺産は同地域の基層文化を形成してきた。エジプト、フェニキア、エーゲ海、ギリシア、ローマ、ビザンツ、そしてイスラムなどの諸文明はそれぞれの時代相を代表している。しかし、近代以降はヨーロッパとイスラム世界の衝突の最前線となってきた。通時的には過去の諸文明が重層構造をなしており、共時的には複合的なモザイク状の社会を構成しているのがこの地域の重要な特徴である。しかし一方で、この地域では三大宗教が共有する聖書の伝統はもちろん、衣食住の生活文化においてもいわば共通の文化的資源がみいだされる。文化は相互に近似的でもあり、翻訳可能性が高いことも重要な事実である。本共同研究では、まるで常態であるかのように紛争が続くこの地域における文化的共生の様態と可能性を探る。
【館内研究員】 | 臼杵陽、新免光比呂、菅瀬晶子(院生)、ピーター J. マシウス、森明子 |
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【館外研究員】 | 赤堀雅幸、伊東一郎、宇野昌樹、大月康弘、北川誠一、黒木英充、佐原徹哉、篠野志郎、松前もゆる |
研究会
- 2001年7月21日
- 新井政美、新井裕子「トルコの近代と音楽──東地中海地域の音楽の伝承」
- 2001年12月26日
- ヨハン・ガルトゥング「9月11日以後の世界──平和学者ヨハン・ガルトゥングをかこんで」
- 2002年3月15日
- 全員「問題群の整理と検討」
研究成果
本研究会では、紛争が常態であるかのようにほとんど断え間なくつづくこの地域において、一方でひろく共有されている文化的資源に注目し、諸集団の様態を探ってきたが、9月11日以後、世界がパンドラの箱を開けたような状態に突入し、パレスチナ和平も破局に帰した状態では、この地域の歴史の対立や抗争の「負」の遺産もかんがえざるをえない。12月26日は、世界的に著名なノルウェー人の平和学者ヨハン・ガルトゥング氏をむかえ、この地域における抗争、歴史的由来、宗教間の関係等について認識を深めた。
2000年度
東地中海地域は諸文明の歴史的遺産が集積された場である。そのため、同地域の基層的な生活文化は歴史的・通時的に幾重にも重層的であり、空間的・共時的には諸民族・諸宗派が入り組んだモザイク的な複合社会であるかに見える。しかし一方で、この地域ではさまざまな文化的資源が共有されており、文化は相互に近似的でもあり翻訳可能性が高いという重要な事実がある。本研究ではその点に注目し、この地域の文化的な共生の様態を学際的な観点から検討する。
【館内研究員】 | 臼杵陽、新免光比呂、菅瀬晶子(院生)、ピーター J. マシウス、森明子 |
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【館外研究員】 | 赤堀雅幸、伊東一郎、宇野昌樹、大月康弘、北川誠一、黒木英充、佐原徹哉、篠野志郎、松前もゆる |
研究会
- 2000年7月6日
- 野村雅一、臼杵陽「今後の研究会をめぐって」
- 2000年10月21日
- 篠野志郎「アルメニア教会建築史の調査から」
- 野村雅一「回帰としての近代 ─ 近代ギリシアの夢」
- 2000年12月2日
- 大月康弘「ビザンツ帝国と教会寄進」
- 佐原徹哉「19世紀バルカン都市の構造、ボーダーレス社会の言語と宗教」
- 2001年2月3日
- 菅瀬晶子「イスラエル・ガリラヤ地方におけるキリスト教徒コミュニティ ─ ファッスータ村に滞在して」
- 伊東一郎「バルカンとカフカーズ ─ 黒海文化圏の提唱」
- 2001年2月27日
- Alobodan Naumovic ─ Myth and Misconception on the Disintegration of Yugoslavia