国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

中国における民族表象の人類学・歴史学的研究―南部地域を中心とした整理と分析―

共同研究 代表者 長谷川清(客員)

研究プロジェクト一覧

研究成果刊行物
『中国の民族表象―南部諸地域の人類学・歴史学的研究』 風響社 2005.3
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2002年度

中国には多くの民族集団が居住している。それらは民族誌・歴史文献等の文字、図像、さらには口頭伝承等の様々な媒体によって表象されてきた。表象行為は現在も進行中であるが、従来本格的に研究されてこなかった。本共同研究は、とくに南部の諸民族を対象として、上記の問題に焦点を当て、非漢族・漢族そして民族の下位集団にも留意し、また人類学のみならず歴史学の視点をも取り入れて多面的な比較検討を行うことを目的とする。

【館内研究員】 韓敏、塚田誠之、横山廣子
【館外研究員】 稲村務、菊池秀明、瀬川昌久、曽士才、武内房司、谷口裕久、陳彬、松岡正子、吉野晃
研究会
2002年6月15日(土)13:30~(第3演習室)
塚田誠之「中華人民共和国成立前後の広西における壮族へのまなざし ─ 劉介と黄現播の著作を中心として」
吉野晃「タイにおけるヤオ族の文化復興」
2002年9月28日(土)13:30~(第3演習室)
菊池秀明「19世紀前半の四川凉山彝族地区における民族関係とそのイメージ ─ 台湾故宮博物院所蔵の档案史料を中心とする整理と分析」
陳彬「モソ人のイメージ作りについて」
2002年11月19日(火)13:30~(第6セミナー室)
モンコン・チャンバムルン「ヤオ族の理念体系 ─ タイ北部高地の村落における文化的経済的適応の一事例」
尹紹亭「雲南の事例からみた観光と文化の関係」
2003年1月14日(火)13:30~(第3演習室)
樫永真佐夫「黒タイの家譜」
横山廣子「雲南における『民族』概念の検討 ─ 中華人民共和国成立まで ─」
武内房司「コメント」
2003年3月15日(土)13:30~(第4演習室)
塚田誠之・吉野晃「中国・東南アジア大陸部の国境地域における諸民族文化の動態と国境の果たす意義」
研究成果

本年度は共同研究の3年目にあたり、昨年度に引き続いてメンバーによる個別の研究報告を行うとともに、民族表象をめぐる諸問題について議論を重ねた。華夷秩序的支配から近代的な国家支配への移行期における少数民族のイメージと表象、民族間関係における相互の他者イメージと政治的文脈、観光化の文脈における自文化の構築、歴史的記憶と自己表象、民族概念の変遷などの事例研究が報告された。また、文部科学省科学研究費補助金・基盤研究(B)「中国・東南アジア大陸部の国境地域における諸民族文化の動態に関する人類学的調査研究」(研究代表者:塚田誠之)との合同開催により、中国・東南アジアの国境地域における民族集団の文化動態に関する比較検討を行った。

2001年度

中国には多くの民族集団が居住している。それの諸民族は民族誌・歴史文献等の文字、図像、さらには口頭伝承等のさまざまな媒体によって表象されてきた。表象行為は現在も進行中であるが、従来本格的に研究されてこなかった。本共同研究は、特に南部の諸民族を対象として、上記の問題に焦点を当て、非漢族・漢族そして民族の下位集団にも留意し、また人類学のみならず歴史学の視点をも取り入れて多面的な比較検討をおこなうことを目的とする。

【館内研究員】 韓敏、塚田誠之、横山廣子
【館外研究員】 稲村務、菊池秀明、瀬川昌久、曽士才、武内房司、谷口裕久、陳彬、松岡正子、吉野晃
研究会
2001年5月18日
馬建釗「中国回族歴史来源与社会変遷」
鄧暁華「東南中国的族群運動表象的人類学性考察」
2001年7月14日
松岡正子「『西番』諸集団における民族名称『チベット族』の意味──四川省涼山彝族自治州木里県桃巴郷のチベット族を事例として」
谷口裕久「少数民族がみずからを語るとき──ミャオ族におけるアイデンティフィケーションと民族表象についての検討」
2001年11月20日
ゴー・ドゥック・ティン「テーン(天)──タイ一族のシャーマニスティックな現象」
楊光遠「新平泰(←ニンベンつき)族的原始宗教祭祀儀式」
2002年1月19日
武内房司「『民族図説』の成立とその時代──Hostetlerの近業によせて」
長谷川清「民族表象としての『孔雀舞』──タイ族における民族文化の創出をめぐって」
2002年3月2日
韓敏「一つの共同体、複数の選択──雲南省保山市騰沖県和順郷の事例に基づいて」
川野明正「中国伝統的メディアの雲南における様相──対聯・?額・版刻・神像呪符」

2000年度

中国には多くの民族集団が居住している。それらは民族誌・歴史文献等の文字・図像、さらには口頭伝承等のさまざまな媒体によって表象されてきた。表象行為は現在も進行中であるが、従来本格的に研究されてこなかった。本共同研究は、とくに南部の諸民族を対象として、上記の問題に焦点をあて、非漢族・漢族そして民族の下位集団にも留意し、また人類学のみならず歴史学の視点をも取り入れて多面的な比較検討を行うことを目的とする。

【館内研究員】 塚田誠之、韓敏
【館外研究員】 稲村務、菊池秀明、瀬川昌久、曽士才、武内房司、谷口裕久、陳彬、松岡正子、吉野晃
研究会
2000年7月1日
長谷川清「研究会の趣旨説明」
曽士才「中国のエスニック・ツーリズムにおける“民族”の表象」
コメンテーター:韓敏
高谷紀夫「民族表象とビルマ世界」
コメンテーター:瀬川昌久
2000年9月26日
范宏貴「中越・中老跨国境民族研究」
コメンテーター:伊藤正子
張公瑾「中国●族与国境外近親民族的語言和文字」
コメンテーター:飯島明子
2001年1月27日
稲村務「ハニ族『文化』の政治学 ─ 出版を通してみた文化表象」
コメンテーター:長谷川千代子
馬場雄司「タイにおける文化政策とタイ・ルー文化」
コメンテーター:高谷紀夫
2001年2月23日~24日
樊秀麗「四川省大涼山彝族の民族表象と宗教文化・儀礼」
コメンテーター:栗原悟
瀬川昌久「瑶族の『盤王節』にみる民族文化の表象について」
コメンテーター:吉野晃
2001年3月8日
資料の収集と整理
研究計画の打ち合わせ
研究成果

5回の研究会を開催し、エスニック観光(貴州省ミャオ族)、民族政策(ビルマ)、文化政策(タイ)、出版(雲南省ハニ族)、宗教儀礼(四川省イ族、中国南部ヤオ族)などのテーマに関わる事例研究の成果が研究会メンバーや特別講師によって報告された。その結果、当該地域の民族表象の形式、表出の具体的状況が明らかになり、国家の民族文化政策やメディア化の進行などに深く関わり合っている点が確認された。