ラテンアメリカ社会文化システム再考
2002年度
ラテンアメリカにおける従前の人類学研究において、いくつもの社会・文化事象がシステム、制度、体制、様式などの概念を用いて、確固とした実体を持つものであるかのごとく語られてきた。それは例えば、社会事象としてのカルゴ・システム、セケ・システム、先住民共同体制度、ポピュリズム体制、文化におけるチャビン様式、クスコ様式絵画などである。しかし、それらの中には例えばシステムという名に値するものであるか疑わしいものも少なくなく、またそれが安定したものであるという保証はほとんどない。本研究では、これまで無批判に受け入れられてきた上記の事象を、免疫系・神経系・複雑系などの研究から生まれた新たなシステム論や、民族学・歴史学・美学などの学問分野にまたがる実証的な分析によって、もう一度洗い直してみたい。これによって、システム論の理論的検討を行うと同時に、これまでのラテンアメリカ研究を誤った方向に向けていたかもしれない学説上の偏向を正すことが可能になる。
【館内研究員】 | 斎藤晃、関雄二、藤井龍彦 |
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【館外研究員】 | 岡田裕成、加藤隆浩、坂井正人、佐々木直美、高橋均、千葉泉、友枝啓泰、初谷譲次、古谷嘉章、細谷広美、横山和歌子 |
研究会
- 2002年11月16日(土)13:00~(第3演習室)
- 斉藤晃「『戦争と宣教』南米イエズス会ミッションの事例」
- 藤井龍彦「アンデスの経済システム」
- 2002年12月14日(土)13:30~(第3演習室)
- 岡田裕成「『メスティソ美術』論再考 ─ アンデスのキリスト教聖堂装飾におけるモチーフの選択と変容のメカニズム」
- 木村秀雄「ボリビア、ペルーの山地アシエンダシステム」
- 2003年1月11日(土)13:30~ / 12日(日)10:30~(第4演習室)
- 木村秀雄「ボリビア・ペルー山地アシエンダシステム」
- 杉山三郎「テオティクセンの政治・宗教システム再考」
- 2003年2月22日(土)10:00~(第3演習室)
- 細谷広美「ウチュハライ村の事件をめぐる記憶の政治学 ─ 先住民族のテロ体験とポストコロニアル」
- 古谷嘉章「アマゾンの陶器生産:過去との対話/未来との交渉」
- 2003年2月23日(日)10:00~(第3演習室)
- 坂井正人「セケ・システムとアンデスの空間構造」
- 千葉泉「チリ住民参加型農村振興プロジェクト報告 ─ 地域研究者が果たしうる役割」
- 2003年3月20日(木)10:30~(第1演習室)
- 「共同研究成果のとりまとめ、今後の研究計画」
2001年度
ラテンアメリカに関する従前の人類学研究においては、いくつもの社会・文化事象が、システム、制度、体制、様式などの概念を用いて、確固とした実体をもつものであるかのごとく語られてきた。例えば、社会事象としてのカルゴ・システム、セケ・システム、先住民共同体制度、ポピュリズム体制、文化におけるチャビン様式、クスコ様式絵画などである。しかし、それらの中には、システムという名に価するものであるか疑わしいものも少なくない。本共同研究では、これまで無批判に受け入れられてきた上記の事象を、免疫系・神経系・複雑系などの研究から生まれた新たなシステム論や、民族学・歴史学・美学などの学問分野にまたがる実証的な分析によって、もう一度洗い直す。そうすることにより、システム論の理論的検討をおこなうと同時に、これまでのラテンアメリカ研究を誤った方向に向けていたかもしれない学説上の偏向を正すことが可能になる。
【館内研究員】 | 斎藤晃、関雄二、藤井龍彦 |
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【館外研究員】 | 岡田裕成、加藤隆浩、坂井正人、佐々木直美、箭内匡、高橋均、友枝啓泰、初谷譲次、古谷嘉章、細谷広美、横山和歌子 |
研究会
- 2001年7月21日
- 木村秀雄「研究会の主旨・運営方針」
- 全員「報告予定テーマについて」
- 2001年10月20日
- 佐々木直美「笑いの中のエスニシティ──ペルーの<漫才>分析」
- 木村秀雄「中央アンデス農村社会の総体的理解に向けて」
- 2001年12月8日
- 加藤隆浩「セケ・システム再考」
- 横山和歌子「植民地期先住民村落の教会堂──地方的形態誕生の背景(メキシコを中心に)」
- 2001年12月22日
- 高橋均「シモン・ボリバルと19世紀カラカスの社会文化システム」
- 関雄二「アンデス初期国家形成についてのシステム論的考察」
- 2002年1月12日
- 初谷譲次「構築される反乱」
- 友枝啓泰「ラテンアメリカの先住民人口」