国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

キリスト教と「文明化」の人類学的研究

共同研究 代表者 杉本良男

研究プロジェクト一覧

2003年度

本研究は、人類学が主な研究対象としてきた地域におけるキリスト教・ミッションの活動が、現地社会にどのような影響を与え、またその結果どのような問題を引き起こしているかについて、各地域の事例から比較検討しようとするものである。当該地域では、キリスト教化、西欧化が「文明化」とほぼ同義となり、さまざまな面で決定的な影響を与えてきた。その現状と歴史課程を明らかにし、キリスト教・ミッションの人類史的意義を明らかにすることが最終的な目的となる。

【館内研究員】 臼杵陽、斎藤晃、新免光比呂、出口正之、信田敏宏、松山利夫、八杉佳穂
【館外研究員】 青木恵理子、池上良正、岡田浩樹、川島耕司、クネヒト・ペトロ、窪田幸子、小泉真理、小林勝、佐原徹哉、白川千尋、杉本星子、寺田勇文、中山和芳、橋本和也、速水洋子、原毅彦、秀村研二、山中弘、吉岡政徳
研究会
2003年7月26日(土)13:30~(大演習室)
クネヒト・ペトロ「開港期におけるキリスト教の宣教活動再開の動因と現実」
池上良正「ホーリネス・リバイバルとその社会的背景 ─ 大正~昭和初期の日本」
2004年1月24日(土)13:30~(大演習室)
齋藤晃「感覚主義の系譜 ─ 南米イエズス会ミッションの系譜」
信田敏宏「マレーシア、オラン・アスリ社会におけるキリスト教 ─ 「改宗の人類学」序説」
2004年2月21日(土)13:30~(第1演習室)
小泉真理「キリスト教の連続性と偶発性 ─ タンザニアにおけるペンテコステ主義の拡大について」
松川恭子「植民地主義・官僚・言語 ─ インド、ゴアにおけるキリスト教徒の事例」
研究成果

本共同研究は、3年間にわたり都合10回の研究会を開催した。取りあげられた地域は、タイ、オーストラリア、韓国、インド、フィジー、スリランカ、ヴァヌアツ、ボリビア、マレーシア、タンザニアなど、人類学が伝統的に調査対象としてきた地域におけるキリスト教ミッションの活動とその影響、現在の社会文化における問題点などを考察した。さらに、大英帝国とミッションについて、その全般的な構図およびアフリカとの関係が考察の対象となり、また日本における江戸末期からの宣教活動、そして明治以降のキリスト教についてもとりあげられた。

本研究会は、究極的に「比較」研究の可能性を追求することに、大きな比重を置いていた。最終的に、キリスト教、ミッションの影響を共通点とすることで、人類史上最大の普遍化原理であり、また分節化原理でもあるキリスト教の存在を基礎として、神による創造を前提とした、いわゆる自然科学的な比較とはことなる「比較」研究の可能性を拓こうとする意図で、議論をすすめ、一定の成果を上げたものと評価している。

2002年度

本研究は、人類学が主な研究対象としてきた地域におけるキリスト教・ミッションの活動が、現地社会にどのような影響を与え、またその結果どのような問題を引き起こしているかについて、各地域の事例から比較検討しようとするものである。当該地域では、キリスト教化、西欧化が「文明化」とほぼ同義となり、さまざまな面で決定的な影響を与えてきた。その現状と歴史課程を明らかにし、キリスト教・ミッションの人類史的意義を明らかにすることが最終的な目的となる。

【館内研究員】 臼杵陽、斎藤晃、新免光比呂、松山利夫、八杉佳穂
【館外研究員】 青木恵理子、池上良正、岡田浩樹、川島耕司、クネヒト・ペトロ、窪田幸子、小泉真理、小林勝、佐原徹哉、白川千尋、杉本星子、寺田勇文、中山和芳、橋本和也、速水洋子、原毅彦、秀村研二、山中弘、吉岡政徳
研究会
2002年6月15日(土)13:30~(大演習室)
山中弘、井野瀬久美恵「大英帝国とキリスト教」
2003年2月1日(土)13:00~(大演習室)
橋本和也「フィジーの土着教会について」
杉本良男「スリランカ仏教は宗教なりや否や」
2003年3月1日(土) / 2日(日)10:00~(大演習室)
杉本良男「中間考察」
白川千尋「ヴァヌアツのSDA信徒における邪術受容の一側面」
吉岡政徳「オセアニアにおける新しい宗教の布教 ─ バハイを中心に」
研究成果

本年度は、都合3回の研究会を行った。6月には大英帝国におけるキリスト教、ミッションについて、アフリカ部族王の謁見と、国内「異教徒」の発見を切り口にした斬新な研究視角で意義のある報告が行われた。2月はフィジーとスリランカという一見離れているが、メソディスト派の宣教の本にあった共通性をもつ両地域が扱われた。3月にはメラネシア、ヴァヌアツにおける新しい宗教運動が取り上げられた。来年度以降の成果出版に向けて、共通の問題意識も涵養されつつあり、研究は着々と進行している。

2001年度

本共同研究は、人類学が主な研究対象としてきた地域におけるキリスト教・ミッションの活動が、現地社会にどのような影響を与え、またその結果現在どのような問題をひきおこしているのかについて、各地域の事例から比較検討しようとするものである。当該地域では、キリスト教化・西欧化が「文明化」とほぼ同義となり、さまざまな面で決定的な影響を与えてきた。その現状と歴史過程を明らかにし、キリスト教・ミッションの人類史的意義を明らかにすることが最終的な目的となる。

【館内研究員】 臼杵陽、斎藤晃、新免光比呂、松山利夫、八杉佳穂
【館外研究員】 青木恵理子、池上良正、岡田浩樹、川島耕司、クネヒト・ペトロ、窪田幸子、小泉真理、小林勝、佐原徹哉、白川千尋、杉本星子、寺田勇文、中山和芳、橋本和也、速水(三野)洋子、原毅彦、秀村研二、山中弘、吉岡政徳
研究会
2001月7月21日
杉本良男「問題提起」
速水洋子「北タイ山地のバプテスト布教──普遍化・民族化・ローカル化のはざま」
2001年10月13日
窪田幸子「アボリジニーとキリスト教ミッション」
松山利夫「アボリジナルとキリスト教──四世代にわたるある家族史から」
2001年12月22日
秀村研二「韓国キリスト教と土着化」
岡田浩樹「現代韓国社会におけるMaterial Christianityと仏教の対応」
2002年3月9日
川島耕司「キリスト教と『脱国民化』──20世紀前半スリランカにおける宗教とナショナリズム」
小林勝「『ヒンドゥー』であること──ケーララの地域社会における寺院の動向と教会・ミッションの影」