ポストコロニアル・アフリカ:その動態と課題
2004年度
アフリカの諸社会は、「アフリカ独立の年」といわれた1960年から40年をへた今日になっても、多くの課題を抱えている。本研究会では、アフリカ諸社会の抱える諸困難のうち、どれが植民地支配の負の遺産であり、どれがその後に抱え込んだ問題であるのかを、社会、経済、政治、産業、農業、宗教、芸術などの諸相にまたがりながら、具体的・地域的なケースを積み重ねていくことで明らかにする。と同時に、そうした状況を乗り越えるために、いかなる民衆的実践がおこなわれてきたか、おこなわれているかを考える。また、私たち研究者の側にも、植民地支配期に形作られた諸概念・諸分析枠組みを無条件に受け入れていないか、それを乗り越えるためには何が必要かを検討していく。
【館内研究員】 | 飯田卓、池谷和信、川口幸也、栗本英世(客員)、三島禎子、吉田憲司 |
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【館外研究員】 | 赤坂賢、阿久津昌三、井関和代、上田冨士子、大峰真理、小川了、栗田和明、慶田勝彦、坂井信三、佐々木重洋、嶋田義仁、下休場千秋、末原達郎、杉山祐子、鈴木裕之、高根務、眞島一郎、松田素二、松村一男、和崎春日、和田正平 |
研究会
- 2004年7月24日(土)13:30~(第2演習室)
- 吉田憲司他参加者全員「作業部会「バントゥ文明の技術誌的研究」最新の研究動向と今後の展開」
- 2004年12月17日(金)13:30~(第2セミナー室)
- 池谷和信「アンゴラの民族文化の歴史と現在」
- 青木一能「アンゴラの内戦と国際政治」
- 田中一弘「コメント AMDAの活動から」
- 2005年3月18日(金)13:30~ / 19日(土)13:00~(第6セミナー室)
- Kassibo Brehima「西アフリカの民主化と開発」
- 佐藤章「コートジボワールの民主化」
- 水野一晴「南部アフリカの乾燥地域における自然と人」
- 永原陽子「クワニャマ王国の歴史」
- 高田明「ナミビア北部における民族文化」
- 縄田浩志、嶋田義仁、小堀巌「コメント」
研究成果
本年度開催した研究会は、(1)アフリカ南部のアンゴラにおける独立と内戦の過程、(2)西アフリカのコートジボワールとマリにおける民主化と経済発展の問題、(3)南部の乾燥地における人間の居住と植民地化の歴史、をめぐっておこなわれた。南部アフリカでの植民地化は、ポルトガルおよびイギリス、オランダによって、西アフリカの上記の国家における植民地化はフランスによっておこなわれた。ここから、植民地政策の違いとその後の独立の過程の違い、今日の旧宗主国をはじめとするEUとの違いなどが浮き彫りにされた。これらの比較研究を継続することの重要性が確認された。
共同研究会に関連した公表実績
Takezawa Soichiro et al. "La domestication des cereales au Mema, Mali ", Proceedings of 11th Congress of Panafrican Prehistory and Related Subjects, 2004, pp.95-110.
竹沢尚一郎「西アフリカ史の中のメマ」『アフリカ研究』(印刷中)
2003年度
アフリカ独立の年といわれた1960年から40年以上を経過した今も、熱帯アフリカ諸社会の多くは、経済的・政治的および文化的な困難を抱えている。これらの社会の抱える困難の、どの部分が植民地体制のもとで課されたものであるか。それを乗り越えるために、これらの社会はいかなる努力をしてきたか。植民地体制のもとでいかなる概念枠組みが作り出され、それが今なおいかに私たちの認識を拘束し続けているか。本研究会は、歴史的アプローチと民族学的アプローチを統合することで、そうした課題に答えていく。
特に本研究会では、農業、開発、民衆文化、小規模商業、解釈システム、地域社会、民族問題などの具体例を積み上げる形で、討議し、問題の所在を明らかにするようつとめる。 本研究会は、2003年に開催予定の政府の「アフリカ開発会議」をにらんで構想されたものであり、諸科学の発展に寄与すると同時に、広く一般にその成果を還元することを目的とする。
【館内研究員】 | 飯田卓、池谷和信、江口一久、川口幸也、田邊繁治、松園万亀雄、三島禎子、吉田憲司 |
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【館外研究員】 | 赤坂賢、阿久津昌三、井関和代、上田冨士子、小川了、栗田和明、栗本英世(客員)、慶田勝彦、坂井信三、佐々木重洋、嶋田義仁、下休場千秋、末原達郎、杉山祐子、鈴木裕之、高根務、日野舜也、藤井真理、真島一郎、松田素二、和崎春日、和田正平 |
研究会
- 2003年8月2日(土)13:30~(第3演習室)
- 全員「バントゥ系調査にむけた基礎語彙集の作製」
- 全員「バントゥ系諸民族の「家屋」の動態の比較研究」
- 2003年10月4日(土)13:30~(第4セミナー室)
- テーマ「民族誌をどう再構築するか ─ 田邊繁治・松田素二編『日常的実践のエスノグラフィー』から出発して ─」
- 小泉潤二「司会」
- 河合香吏・宇田川妙子・竹沢尚一郎「コメント」
- 松田素二・田邊繁治「リプライ」
- 全体討論
- 2003年10月25日(土)13:30~(第7セミナー室)
- 小田亮「ポストコリニアリズムと戦略的本質主義批判」
- 廣田勝彦「ポストコロニアルなローカル化の戦略 ─ ケニアの伝統医強化組織と人類学的実践を中心として」
- 2003年12月9日(火)11:20~ / 10日(水)10:00~ / 11日(木)10:00~(第4セミナー室)
- 国際シンポジウム『アフリカにおける文化遺産の危機と継承』参加
- 2004年3月12日(金)13:30~(第4セミナー室)
- 鶴田格「タンザニア都市部におけるサッカー文化の発展」
- 竹沢尚一郎「マリでの発掘・帰国報告」
2002年度
本研究の目的は、ポストコロニアルなアフリカ研究を実現することにある。本研究がポストコロニアルというとき、2つのことが含意される。1つは、植民地支配期に、西欧諸国の手で恣意的に政治的・経済的・文化的枠組みを形作られたサハラ以南アフリカの諸社会が、コロニアルな状況を脱するにはなにが必要かを考えること。もう1つは、植民地支配期に支配を正当化する目的で形成され、その後も人びとの科学的および日常的思考を規定してきた諸概念(民族、黒人アフリカ、低開発、人種など)を脱するには、いかなる概念装置の組み立てが必要かを考えることである。
以上の観点から、本研究ではとくにつぎのような課題に取り組みたい。民族や国家の枠組みが歴史的にどのように形成されたかを明らかにすると同時に、そうした枠を超えた民族間、国家間の相互作用に注目すること。人々の移動と、それによる文化要素の相互浸透・相互影響の実態を明らかにすること。植民地支配期に強制されたモノカルチャー経済を脱するための、下からの改革の試みに注目すること。その上で、現代のアフリカ諸社会を記述するための新たな概念枠組みを案出すること、である。
【館内研究員】 | 飯田卓、池谷和信、江口一久、三島禎子、吉田憲司、松田素二(客員) |
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【館外研究員】 | 阿久津昌三、井関和代、上田冨士子、小川了、栗田和明、栗本英世、慶田勝彦、坂井信三、佐々木重洋、嶋田義仁、下休場千秋、末原達郎、杉山祐子、鈴木裕之、日野舜也、真島一郎、松園万亀雄、和崎春日、和田正平 |
研究会
- 2002年7月6日(土)13:00~(第6セミナー室)
- 松田素二「ポストコロニアル・アフリカ」
- 2002年7月7日(日)10:00~(第6セミナー室)
- 竹沢尚一郎「フランス植民地主義の負の課題」
- 2002年12月14日(土)13:30~(第2演習室)
- 吉田憲司・和田正平・加賀谷良平「作業部会『バントゥ文明の技術詩的研究』現地調査報告」
- 2002年12月21日(土)13:00~(第6セミナー室)
- 高根務「ココア流通から見るガーナ政治経済史 1885-2000年」
- 杉山裕子「現金経済への接合と酒の醸造販売 ─ ベンバ農村の事例を中心に」
- 2003年2月21日(金)13:30~(第6セミナー室)
- 石井美保「流通する精霊 ─ ガーナにおける遠隔地交易と宗教変容」
- 近藤秀俊「治癒と自己の揺らぎ:ナイジェリア・カドゥナの多元的医療・宗教と信用の問題」
- 2003年3月8日(土)13:30~(第2演習室)
- 分科会『バントゥ文明の技術誌的研究』報告会
- 井関和代「バントゥ系諸民族におけるラフィア織り技術」