文化遺産管理とツーリズムに関する研究
2004年度
アジア・太平洋諸国における文化遺産の保存・整備に関する考古学、建築学等分野の研究技術開発では欧米と肩を並べる日本であるが、整備後の遺産の持続的管理と活用、特にツーリズム開発の側面における研究・政策開発の遅れは著しい。
本研究は、平成11~13年度共同研究「自律的観光の総合的研究」(代表石森秀三)の成果をより実践的に発展させるもので、日本を取り囲むアジア太平洋地域における文化遺産管理とツーリズム開発の動向を総合的に明らかにしつつ、世界遺産など様々な文化遺産を有する個々の事例地域の独自な遺産管理手法やツーリズム現象の制御手段を検証、整理し、遺産管理とツーリズムの持続可能な関係構築モデルを開発することを目的とする。
こうした社会の具体課題を文化人類学、都市計画学、社会学、経済学、環境計画学、経営学、観光デザイン学等の多岐にわたる分野の研究者のフィールド研究を基に総合的に考究する点に本共同研究の特徴と意義がある。
【館内研究員】 | 石森秀三、印東道子、韓敏、関雄二 |
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【館外研究員】 | 安藤義和、池ノ上真一、江面嗣人、大森洋子、海津ゆりえ、窪田亜矢、黒見敏丈、小林英俊、斉藤雪彦、佐藤誠、塩路有子、下休場千秋、杓谷茂樹、陣内秀信、西村幸夫、橋爪紳也、真板昭夫、前田弘、増井正哉、益田兼房、森栗茂一、山村高淑、吉兼秀夫、吉野耕作 |
研究会
- 2005年1月22日(土)13:00~ / 23日(日)10:00~(第4セミナー室)
- 小林史彦・河原清・吉藤通章・景山和也/西山徳明/杓谷茂樹/敷田麻実・森重昌之/黒見敏丈「文化遺産によるまちづくり、他」
- 2005年2月5日(土)13:00~ / 6日(日)10:00~(第4セミナ室)
- 清水苗穂子/惣司めぐみ/宇高雄志/橋爪紳也/江面嗣人/ロン・カール「民博研究報告(SER)出版に関する討議、他」
研究成果
3年計画の最終目にあたる本年度は、遺産管理とツーリズムの持続可能な関係構築モデルを開発するという本研究会の目的に向け、世界的な有形・無形遺産概念の統合の動向に着目しつつ、南米、アジアおよび国内事例における文化遺産マネジメントについて事例研究を進めた。ツーリズム開発を契機として、文化遺産を巡りホスト社会に多様な組織化が発生するとともに、それら組織や政府等による遺産のイメージ形成や様々な整備、マネジメントのための制度化が進む。無形遺産に多くを依拠するアジアや日本の文化遺産の場合には、とくにそのオーセンティシティの特定と維持に困難が生じやすいことが報告された。また、日本における文化財保護と文化遺産マネジメントとの関係性についての概念整理をおこない、以上の成果を『国立民族学博物館調査報告』に報告することとした。
共同研究会に関連した公表実績
西山徳明編『文化遺産マネジメントとツーリズムの現状と課題』平成16年3月、国立民族学博物館研究報告(SER)51号、を刊行した。
2003年度
アジア・太平洋諸国における文化遺産の保存・整備に関する考古学、建築学等分野の研究技術開発では欧米と肩を並べる日本であるが、整備後の遺産の持続的管理と活用、特にツーリズム開発の側面における研究・政策開発の遅れは著しい。
本研究は、平成11~13年度共同研究「自律的観光の総合的研究」(代表石森秀三)の成果をより実践的に発展させるもので、日本を取り囲むアジア太平洋地域における文化遺産管理とツーリズム開発の動向を総合的に明らかにしつつ、世界遺産など様々な文化遺産を有する個々の事例地域の独自な遺産管理手法やツーリズム現象の制御手段を検証、整理し、遺産管理とツーリズムの持続可能な関係構築モデルを開発することを目的とする。
こうした社会の具体課題を文化人類学、都市計画学、社会学、経済学、環境計画学、経営学、観光デザイン学等の多岐にわたる分野の研究者のフィールド研究を基に総合的に考究する点に本共同研究の特徴と意義がある。
【館内研究員】 | 石森秀三、印東道子、韓敏、関雄二、野林厚志 |
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【館外研究員】 | 池ノ上真一、苅谷勇雅、黒見敏丈、小林英俊、斉藤雪彦、佐藤誠、塩路有子、下休場千秋、陣内秀信、西村幸夫、橋爪紳也、真板昭夫、前田弘、増井正哉、益田兼房、森栗茂一、山村高淑、吉兼秀夫、吉野耕作 |
研究会
- 2003年8月30日(土)13:30~ / 31日(日)10:30~(第4セミナー室)
- 西村幸夫・河野俊行・益田兼房・本中眞・黒田乃生・江面嗣人「日本から見た文化遺産の概念とそのマネジメント」
- 2003年12月20日(土)10:00~(第5セミナー室)
- 西山徳明・石川厚志・山村高淑「国立民族学博物館研究報告書刊行に関する研究討議」
- 2004年1月24日(土)13:00~ / 25日(日)10:00~(第4セミナー室)
- 真板昭夫・梅津ゆりえ・前田弘・敷田麻実・森重昌之「遺産マネジメントとツーリズムの可能性」
- 2004年2月28日(土)13:00~ / 29日(日)10:00~(第4セミナー室)
- 山村高淑・山口しのぶ・西山徳明・三島敏樹・松本継太「世界が見る文化遺産、地域から見る文化遺産」
研究成果
2002年度の「集落・町並み遺産」「都市遺産」「考古学的遺産」「自然遺産」という遺産類型でとらえた世界および日本各地事例における文化遺産マネジメントとツーリズムの現状と課題について『国立民族学博物館調査報告51』に報告した。一方で、遺産管理とツーリズムの持続可能な関係構築モデルを開発するという本研究会の目的に向け、文化的景観や無形遺産に対して概念を広げつつあるユネスコや文化庁(日本)等の近年の動向を検証するための議論を深めることができた。また、日本における遺産マネジメントの最先端で悩む白川郷をケースとして、モデル構築の試論を展開した。
西山徳明編「文化遺産マネジメントとツーリズムの現状と課題」国立民族学博物館調査報告51
2002年度
アジア・太平洋諸国における文化遺産の保存・整備に関する考古学、建築学等分野の研究技術開発では欧米と肩を並べる日本であるが、整備後の遺産の持続的管理と活用、特にツーリズム開発の側面における研究・政策開発の遅れは著しい。
本研究は、平成11~13年度共同研究「自律的観光の総合的研究」(代表石森秀三)の成果をより実践的に発展させるもので、日本を取り囲むアジア太平洋地域における文化遺産管理とツーリズム開発の動向を総合的に明らかにしつつ、世界遺産など様々な文化遺産を有する個々の事例地域の独自な遺産管理手法やツーリズム現象の制御手段を検証、整理し、遺産管理とツーリズムの持続可能な関係構築モデルを開発することを目的とする。
こうした社会の具体課題を文化人類学、都市計画学、社会学、経済学、環境計画学、経営学、観光デザイン学等の多岐にわたる分野の研究者のフィールド研究を基に総合的に考究する点に本共同研究の特徴と意義がある。
【館内研究員】 | 石森秀三、印東道子、韓敏、関雄二、野林厚志 |
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【館外研究員】 | 池ノ上真一、苅谷勇雅、黒見敏丈、小林英俊、斉藤雪彦、佐藤誠、塩路有子、下休場千秋、陣内秀信、西村幸夫、橋爪紳也、真板昭夫、前田弘、増井正哉、益田兼房、森栗茂一、山村高淑、吉兼秀夫、吉野耕作 |
研究会
- 2002年7月6日(土)13:30~(第3セミナー室)
- 西山徳明・池ノ上真一・刈谷勇雅・塩路有子・窪田亜矢「集落・町並み遺産の管理とツーリズム」
- 2002年9月14日(土)13:30~(第4セミナー室)
- 宮本雅明・森栗茂一・陣内秀信・他2名「都市遺産の管理とツーリズム」
- 2002年9月15日(日)10:30~(第4セミナー室)
- 宮本雅明・森栗茂一・陣内秀信・他2名「都市遺産の管理とツーリズム」
- 2002年12月14日(土)13:30~(第4セミナー室)
- 増井正哉「ガンダーラ遺跡をめぐる盗掘・観光・保存」
- 藤木良明「東南アジアにおける遺跡保存と観光開発 ─ ボロブドゥール、アンコール、スコータイを中心に」
- 矢野和之「未定」
- 関雄二「インカのミイラ『フワニータ』をめぐる保存と観光の問題」
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2003年3月1日(土)13:30~(第4セミナー室)
- 真板昭夫「基調発表」
- 西原弘「ガラパゴス諸島における生態系保全のための社会戦略の提案 ─ PECC3ヵ年調査成果をもとに」
- 下休場千秋「アフリカ、カメルーン共和国のエコツーリズム」
- 2003年3月2日(日)10:30~(第4セミナー室)
- 小林英俊「ツーリズムにおける環境認証制度についての事例研究」
- 斉藤雪彦「集落空間管理とグリーンツーリズム」
- 2003年3月17日(月)13:00~(大演習室)
- 細川周平「研究会の設立経過と目的」
- 岩野裕一「コロムビア外地録音の保存状況」
- 福岡正太「コロムビア外地録音の民博における整理状況」
- 「今後の研究計画」
研究成果
3年計画の1年目にあたる本年度は、テーマとする管理(マネジメント)の対象となる「集落・町並み」「都市遺産」「考古遺産」「自然遺産」のカテゴリーごとに、文化遺産のとらえ方とその管理主体およびそれらとツーリズムの関係の展開状況について、国内外のさまざまな事例研究に基づく報告を受け、概念の整理と研究課題の所在を明確化した。成果として、欧米と比較した日本およびアジア地域における不可視遺産(無形遺産)の価値づけの必要性と、文化遺産を有するローカル・コミュニティーとツーリズムとの多様な関係をマネジメントしうる日本型モデルのコンセプトと理論化の方針を確認できた。