国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

地球環境問題に関する応用人類学的研究

共同研究 代表者 池谷和信

研究プロジェクト一覧

成果刊行物:『地球環境問題の人類学』 世界思想社 2003.11
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2001年度

地球環境問題を代表する砂漠化や地球温暖化に影響を与える森林破壊などの植生変化とその人的要因、またこれらの変化に対する地域住民の対応を明らかにすることは、応用人類学的課題である。市場経済のグローバル化にともなう森林や砂漠などの環境資源に対する持続的利用の変化を動態的にとらえることをとおして、地球環境問題の現況と構造変化を把握することが、本研究の目的である。そのためには,民族学を中心として地理学,林学,社会学,経済学の研究者を集めて学際的に研究をすすめることが不可欠である。

【館内研究員】 秋道智彌、阿部健一、飯田卓、三島禎子、山本紀夫
【館外研究員】 赤嶺淳、石弘之、市川光雄、井上真、勝俣誠、門村浩、小林茂、佐藤廉也、嶋田義仁、杉村和彦、竹田晋也、中川秀一、百村帝彦、古沢広祐、増田美砂、山極寿一
研究会
2001年7月14日
池谷和信「これまでの研究のまとめ、及びアマゾン報告からの問題提起」
佐藤廉也「エチオピアの森林と焼畑民の集住化」
都築一子「北ボルネオの開発状況について」
木村秀雄「アマゾンの開発と地域社会の動態」
2001年9月29日
林耕次「中央アフリカにおけるゾウ狩りと自然保護」
真実一美「インドの自然保護区と地域住民」
山極寿一「アフリカにおける大型類人猿のブッシュミート取引とNGOの保護活動」
2001年10月8日
全体討論「アフリカの砂漠化問題に関する研究打ち合わせ」
2001年11月3日
東南アジア大陸山地の自然資源利用と市場経済化
岩田明久「ラオスの水産資源利用とその変化」
竹田晋也「ラオスにおける非木材林産生産とその変容」
2002年3月16日
全員「研究成果のとりまとめについて」

2000年度

地球環境問題を代表する砂漠化や地球温暖化に影響を与える森林破壊などの植生変化とその人的要因、またこれらの変化に対する地域住民の対応を明らかにすることは、応用人類学的課題である。本研究は、市場経済のグローバル化に伴う森林や砂漠などの環境資源に対する持続的利用の変化を動態的にとらえることを通して、地球環境問題の現況と構造変化を把握することを目的とする。このためには、民族学を中心として地理学、林学、社会学、経済学の研究者を集めて学際的に研究を進めることが不可欠である。

【館内研究員】 赤嶺淳(COE)、秋道智彌、阿部健一、三島禎子
【館外研究員】 石弘之、市川光雄、井上真、勝俣誠、門村浩、小林茂、佐藤廉也、嶋田義仁、杉村和彦、竹田晋也、中川秀一、百村帝彦、古沢広祐、増田美砂、山極寿一
研究会
2000年7月1日
石山俊「環境保全と生活改善 ─ チャドにおけるNGOの砂漠化対策を通して」
コメンテーター:三島禎子
嶋田義仁「乾燥地と文明 ─ “砂漠化”を考えなおす」
川喜田二郎「ヒマラヤ環境問題への新しい挑戦」
2000年10月28日
池谷和信「沙漠化研究に関する国際的動向」
コメンテーター:嶋田義仁
中川秀一「わが国における流域社会論」
井上真「東南アジア諸国における参加型森林管理について」
コメンテーター:仁連孝昭、山田祐彰
2000年12月16日
仁連孝昭「焼畑地域の資源・エネルギー利用について ─ ラオスの社会から」
コメンテーター:佐藤廉也
松尾斗伍郎「自然エネルギーと地域社会の未来 ─ 福井県今立町の経験」
コメンテーター:中村陽一
杉村和彦、増田頼保「低エネルギー社会の生き方 ─ アフリカの社会から」
コメンテーター:嶋田義仁
研究成果

本年度は、3回の研究会で9人の報告が行われた。具体的な報告の対象地域は、アフリカ(チャド)、ヒマラヤ(ネパール)、東南アジア(インドネシア、ラオス)、日本と多岐にわたっている。また、森林と砂漠という自然資源の崩壊に関する問題把握と、それへの対処の方法が、NGOの活動と政府の政策という2つの形から検討された。しかし、両者とも、地域住民を主体にした参加型森林管理のあり方を問題にしている点では共通性がみられることが明らかになった。さらに、自然エネルギーを中心とする地域社会の発展のあり方や低エネルギー社会の生き方についての具体的な提案などがあり、これらは地球環境問題の解決のために必要といわれる循環型社会のモデルを考えるうえで示唆に富むものであった。

1999年度

地球環境問題を代表する砂漠化や地球温暖化に影響を与える森林破壊などの植生変化とその人的要因、またこれらの変化に対する地域住民の対応を明らかにすることは、応用人類学的課題である。本研究は、市場経済のグローバル化にともなう森林や砂漠などの環境資源に対する持続的利用の変化を動態的にとらえることを通して、地球環境問題の現況と構造変化を把握することを目的とする。このためには、民族学を中心として地理学、林学、社会学、経済学の研究者を集めて学際的に研究をすすめることが不可欠である。

【館内研究員】 赤嶺淳、秋道智彌、阿部健一、三島禎子
【館外研究員】 石弘之、市川光雄、井上真、勝俣誠、門村浩、小林茂、佐藤廉也、嶋田義仁、杉村和、竹田晋也、中川秀一、百村帝彦、古沢広祐、増田美砂、山極寿一
研究会
5月16日
全員「研究打ち合わせ」
池谷和信「環境問題への人類学的研究の可能性」
石弘之「辺地に及ぶ環境破壊」
7月19日
池谷和信「前回の議論のまとめと今後の方針について」
古沢広祐「有機農業・アグロフォレスリー・環境容量からみた持続可能社会システム―これまでの歩みを振り返って―」
原後雄太「アマゾンの森林問題とNGOの活動」
山田祐彰「コメント」
門村浩「『砂漠化』/土地荒廃と干ばつ―国際的対応の現状と課題―」
2000年1月14日
長澤良太「時系列高分解能衛星画像を用いたラオス北部の焼畑モニタリング」
阿部健一「コメント」
中野和敬「焼畑の生態学-東南アジアとオセアニアを中心として-」
研究成果

この研究会では、人類学、地理学、森林科学、経済学の歩み寄りによって、市場経済のグローバル化がすすむ世界の辺境地域を射程に入れた環境問題の構図と対応の解明を目的としてきた。その結果、アフリカ・アジア・ラテンアメリカの森林と砂漠における問題に共通性の多いことがわかり、マクロな問題とミクロな問題を接合するための方法が活発に議論された。