ラテンアメリカにおける地域統合の進展と「米州自由貿易圏」の形成をめぐる交渉過程(2004-2006)
目的・内容
ラテンアメリカでは地域統合の動きが1990年代から活発になっている。MERCOSUR(南米南部共同市場)とCAN(アンデス共同体)は、それぞれ、異なる形態の「サブ地域」を形成し地域統合を発展させてきたが、現在、南米における経済統合を試みる一方で、両サブ地域は、米国とラテンアメリカ諸国が2005年までに合意を目指す「米州自由貿易圏」(FTAA)の交渉の場において、それぞれ別々に、各サブ地域において域内加盟国同士の共同歩調をとろうとしている。本研究は、MERCOSURとCANにおける中枢国(アルゼンチンとブラジル・ベネズエラとコロンビア)に着目して、異なる状態における地域統合をめぐる交渉過程で、政治アクターが国際・国内政治でどのような行動をとったかを明らかにしようとしている。
活動内容
◆ 2005年4月より青山学院大学へ転出
2004年度活動報告
平成16年4月1日から平成17年3月31日にかけて日本学術振興会の特別研究員(PD)に採用されたことにより、研究代表者は、特別研究員奨励費の交付を受けて「ラテンアメリカにおける地域統合の進展と『米州自由貿易圏』の形成をめぐる交渉過程」と題する研究課題に取り組み、南米南部共同市場(MERCOSUR)とアンデス共同体(CAN)における「サブ地域」的な地域統合の現状分析を行い、これらのサブ地域と南北アメリカ全体における「大陸」的な地域統合の相関関係について国際政治学的な観点から実証的な調査・研究を行った。本研究課題の当初の計画では、3年間と通じて、まず、徹底したフィールド・ワークを実施しつつ理論的考察を行い、最後に全体の研究成果の発表する予定であったが、就職が決定したことにより、この計画を1年間で中断せざるを得なかった。 しかし、近い将来に再び本研究課題を再開できるまでの研究基盤を構築することができたと思われる。1年間の研究期間を通じて、理論的考察とフィールド・ワーを研究活動の柱とした。まず、理論的な考察において、欧州連合の事例研究から派生した国際統合理論のラテンアメリカ地域への適用を様々な角度から比較検討した。そのうえで、2回の海外渡航で徹底した情報収集の一環として政府や企業の関係者へのインタビューや資料収集を行い、理論的な枠組みに基づく実証研究の段階に入った。1年次が終了した時点で本格的な研究実績は発表されていないが、学術雑誌などへの投稿を準備している。