ベトナムにおける国有林再生事業と地域住民の貧困認識に関する研究(2005-2007)
目的・内容
本研究は、国立民族学博物館・地域研究企画交流センターが現在そのデジタル版を所蔵している、中央アジアに関する膨大な資料集成『トルキスタン集成』(オリジナル約600巻)の全容を明らかにし、21世紀の現在においてあらためて地域研究資料として活用するための基盤を整備することを目的として、この資料集成のデジタル・インデクスの作成等を行うものである。
3年間の本研究では、次の3つの柱を立てて、研究を進める。(3)は交付申請にあたりあらたに加えた。
(1)コレクション編纂当時に作成された既存の4種類のインデクスを元に、資料本体との照合、インデクス情報の修正・追加、キーワード設定などを行い、4つのインデクスを統合し、検索機能をそなえたデジタル・インデクスを作成すること。
(2)デジタル版のもととなったタシュケント(ウズベキスタン)版のほかに、『トルキスタン集成』にはロシア所蔵版があることが知られており、タシュケント版では失われた資料が含まれている可能性がある。このロシア版に関する現地調査と、タシュケント版との比較検討を行なうこと。
(3)人文社会科学系以外の研究者による資料の利用を促進するため、資料の一部を日本語に翻訳すること。
活動内容
◆ 2006年4月より京都大学地域研究統合情報センターへ転出
2005年度活動報告
この研究は、3年にわたるプロジェクトであり、以下の目的で行われる。
1.ベトナム政府が、国有林地帯の修復という事業計画を作成するに至らせた貧困に対する国家の認識と、国家の森林修復事業に参加し、かつそれにより利益を得るところにある高地に住む農業経営者の貧困に対する認識の概念上の相違を理解すること。
2.ベトナム政府の森林修復事業計画が、高地に住む農業経営者の間に生ずる貧困の緩和に対して実際どのように貢献したかを理解すること。
このプロジェクトの初年度にあたる17年度は、ベトナムにおける国有林再生事業についての包括的なデータベースの分析が完了。そのデータベースはベトナムの農村地帯における貧困についてのあらゆる情報源にたとえられ、修復プロジェクトの貧困がもたらす最初の評価につながる。
研究結果は、修復プロジェクトに関する情報や広範囲にわたる文献の論評と合わせて、2006年2月28日にハノイで開かれたミーティングにおいて発表されたレポートに紹介されている。そのミーティングには、38名のベトナム人と8名の林学、農村開発・保護に関するスペシャリストが出席。以下の段階をおって進行された。
・ウィル・デ・ヨンならびに2名のベトナム人協力者による研究・レポートの概略の発表。
・レポートの4つの主なチャプターを4つのグループに分かれて討論。
・そのグループでの討論内容を相互に報告。
レポートとミーティングでの討論に基づいて来年度にはなおいっそう進んだ研究が行われるのは確かである。さらに進んだ研究のために15のプロジェクトが計画され、そして、このための収集されるべき情報が明確化された。すでにこの情報源が明らかにされ、情報収集も始められている。