国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

地域研究資料としての「トルキスタン集成」に関する総合的書誌研究(2005-2007)

科学研究費補助金による研究プロジェクト|基盤研究(C) 代表者 帯谷知可

研究プロジェクト一覧

目的・内容

本研究は、国立民族学博物館・地域研究企画交流センターが現在そのデジタル版を所蔵している、中央アジアに関する膨大な資料集成『トルキスタン集成』(オリジナル約600巻)の全容を明らかにし、21世紀の現在においてあらためて地域研究資料として活用するための基盤を整備することを目的として、この資料集成のデジタル・インデクスの作成等を行うものである。
3年間の本研究では、次の3つの柱を立てて、研究を進める。(3)は交付申請にあたりあらたに加えた。
(1)コレクション編纂当時に作成された既存の4種類のインデクスを元に、資料本体との照合、インデクス情報の修正・追加、キーワード設定などを行い、4つのインデクスを統合し、検索機能をそなえたデジタル・インデクスを作成すること。
(2)デジタル版のもととなったタシュケント(ウズベキスタン)版のほかに、『トルキスタン集成』にはロシア所蔵版があることが知られており、タシュケント版では失われた資料が含まれている可能性がある。このロシア版に関する現地調査と、タシュケント版との比較検討を行なうこと。
(3)人文社会科学系以外の研究者による資料の利用を促進するため、資料の一部を日本語に翻訳すること。

活動内容

◆ 2006年4月より京都大学地域研究統合情報センターへ転出

2005年度活動報告

本研究は、国立民族学博物館・地域研究企画交流センターがそのデジタル版を所蔵している、中央アジアに関する膨大な資料集成『トルキスタン集成』(オリジナル約600巻)の全容を明らかにし、21世紀の現在においてあらためて中央アジアに関する地域研究資料として活用するための基盤を整備することを目的として、既存の4種類のインデクスを統合し、検索機能を付したデジタル・インデクスの作成、資料原本のウズベキスタン所蔵版とロシア所蔵版の比較、このコレクションに所収されている一部の重要な資料の邦訳などを行なおうとするものである。
研究初年度の平成17年度においては、ウズベキスタン(タシュケント)において、本資料集成のデジタル版作成を行なったメディア・ランド社の協力を得ながら、『トルキスタン集成』の既存の4種類のインデクスを統合する第一段階として、それら4種類のインデクスそれぞれのHTML版を作成した。これをもとに、今後、さらに資料本体との照合やキーワード設定などを行ないながら、それぞれ異なった基準によって編纂された4種類のインデクスをいったん書誌情報ごとにばらしてから、統一された条件のもとで再統合した本格的なデジタル・インデクスの構築をめざすことになる。同時に、本資料集成に所収される資料の書誌情報データベース化の準備作業を兼ねて、本資料集成のなかから単行本のみを抽出する作業に着手し、その中から従来の日本における中央アジア研究で十分に活用されておらず、かつ活用する意義が大きく、邦訳するのが望ましい資料の選択について検討を開始した。