梅棹忠夫資料のデジタルアーカイブズ(2013-2016)
科学研究費助成事業による研究プロジェクト|研究成果公開促進費(データベース)
代表者 久保正敏
目的・内容
梅棹忠夫は国立民族学博物館(以下、民博)に膨大な資料を残した。フィールドノート、スケッチ、写真などフィールドワーク途上で作成された一次資料に始まり、原稿執筆のアイデアを記したカード類、その整理結果から原稿の各段階に対応する概念を記した「こざね」、原稿、自著への書評などの知的生産活動に関わるものの他、学術調査探検隊・共同研究会・学科の組織活動、学術機関運営や学術行政、民博創設と準備の博物館調査等に関わる資料も含まれる。梅棹はこれら資料を駆使し、モンゴル・アフリカ・東南アジアなどの地域研究のほか、情報論、比較文明論、女性論、家庭論、博物館展示論、研究経営論など、幅広い学を打ち立てた。従ってこれら資料と資料間の関係性を分析することは、梅棹の知的生産の過程のみならず、日本の民族学史や海外調査・探検史、文化行政史等の研究に寄与することが期待できる。そのため、データベース化と共有が切望されてきた。
そこで今回、資料間の相関関係に基づく梅棹忠夫「知的生産の学」を解明し、関連する分野の今後の研究に生かすために、民博だけでなく、梅棹の研究分野に関わる多分野研究者の参加を求め、それぞれが発見した資料間の相関関係の記述も含めたデジタルアーカイブズの構築を目指すに至った。これは、梅棹自身の望んでいた共同的な知の創造にかなうものである。