人類学におけるフォト・エスノグラフィーの手法の探求(2014-2015)
目的・内容
本研究は、デジタル化時代における人類学的なフィールドワークによって収集される調査データである写真(デジタル写真)の活用方法を考察し、写真を主体にしたフォト・エスノグラフィーという新しいエスノグラフィーの手法を探求することを目的としている。
この目的を達成するため、(1)デジタル写真というメディアの特性を活かしたコンピュータ上での静止画像管理システムの設計、(2)人類学教育を射程に入れた、大学・大学院における実習授業でフォト・エスノグラフィーを作成する実験的な試みという二つの応用的かつ実践的なアプローチをとりつつ、エスノグラフィーにおける写真の活用に関わる理論的な探求を行い、その可能性について検証する。その上で最終的にフォト・エスノグラフィーの方法論に資する基礎的なヴィジョンを提出する。
活動内容
2015年度活動報告
(1)国内外の関連研究資料の収集と研究者間でのネットワークの拡大:国内外の関連資料収集と同時に、文化人類学者、隣接分野(社会学・民俗学)や関係分野(情報学)の研究者との連携を強化し、各分野の研究者が研究協力者として本研究を支援する基盤を作った。
(2)フォト・エスノグラフィーの実践:研究協力者らの協力を得て、学部生・大学院生向けの調査実習で、フォト・エスノグラフィーの手法を採用した実践を展開した。その一方で、研究代表者、および数名の研究協力者が各自のフィールドにおいてフォト・エスノグラフィーの実践を行った。それら実践をモニタリングしたり、研究協力者と意見交換したりしたなかで、モデル化のための知見を得た。
(3)研究会・ミーティングの開催:研究協力者全員を集めた全体研究会は、2014年度は1回、2015年度は2回開催した。研究代表者は、各研究協力者との個別の打ち合わせを行い、意見交換をしつつ、本研究の進捗状況の情報共有をはかり、フォト・エスノグラフィーの理論的な探究を行った。
(4)静止画像管理システムの設計:フォト・エスノグラフィーをコンピュータシステム上で実現できる仕組みを設計する活動については、情報学分野からの研究協力者の協力を得ることができ、システム設計に関する知見を得ることができた。
(5)研究成果の公表:本研究成果公表のためにWEBサイト(http://www.photoethnography.sakura.ne.jp/)を作成し、このWEBサイトにつながる形で、(2)での個別の調査実習用WEBサイトも作成した。2014年度には、研究協力者の一人が担当する調査授業の調査報告書を刊行した。さらに研究代表者は、2015年度には国内外の学会にて、(2)での成果をもとに単独で口頭発表した。
2014年度活動報告
1.国内外の関連研究資料の収集と研究者間でのネットワークの拡大:
国内外の関連資料収集と同時に、国内の文化人類学者だけでなく、隣接分野(社会学)や関係する分野(情報学)の研究者との連携を作り、各分野の研究者が研究協力者として本研究を支援する基盤を作った。
2.調査実習授業での展開:
研究協力者の協力を得て、学部生・大学院生向けの調査実習で、フォト・エスノグラフィーの手法を採用した実践を展開した。研究代表者は、その実践をモニタリングすることで、モデル化のための知見を得た。
3.研究会・ミーティングの開催:
研究協力者全員を集めた全体研究会は、1回(2014年7月14日)のみの開催に留まったが、研究代表者は、各研究協力者と個別のミーティングで対応しながら、意見交換をしつつ、本研究の進捗情報の共有をはかり、フォト・エスノグラフィーの理論的な探求を行った。
4.静止画像管理システムの設計:
フォト・エスノグラフィーをコンピュータシステム上で実現できる仕組みを設計する活動については、情報学を専門とする研究協力者の協力を得ることができ、本格的なシステム設計に関しては、2014年度の調査実習での研究成果をもとにして進める計画を立てた。
5.研究成果の公表:
本研究成果公表のためにWEBサイト(http://www.photoethnography.sakura.ne.jp/)を作成し、このWEBサイトに連携する形で、(2)での個別の調査実習用WEBサイトを作成し、調査実習の成果を掲載した。また、研究協力者の一人が担当する授業に関しては、2014年度調査報告書を刊行する準備を行った。さらに、研究代表者は、2015年度の日本文化人類学会第49回研究大会、関西社会学会第66回大会にて、(2)での成果をもとに単独で口頭発表する予定で準備を進めた。