国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

ジャマイカ、スキン・ブリーチングが刷新する黒人性に関する文化人類学的研究(2014-2015)

科学研究費補助金による研究プロジェクト|研究活動スタート支援 代表者 神本秀爾

研究プロジェクト一覧

目的・内容

本研究課題は、資料・史料分析による実証研究と理論研究を組み合わせておこなわれる。本研究課題では、黒人として生きられる身体に着目する立場から、健康被害をもたらすとして警鐘が鳴らされているにも関わらず、ジャマイカで多くの人が実践しているスキン・ブリーチング(スキン・ホワイトニング、トーニングとも呼ばれる肌の脱色・漂白)を考察対象とする。
本研究課題では、スキン・ブリーチングを、ローカル・ナショナル・グローバルな諸力との関係のなかで構築されてきた複数の身体イメージと、みずからの身体のあいだでおこなわれる加工を通じた交渉の実践と位置づけ、その実践を通じて共同性の源となる黒人性が刷新されていく動態を描き出すことを目的とする。

活動内容

◆ 2015年4月より転出

2014年度活動報告

本研究課題は、黒人として生きられる身体に注目するものであり、全世界的におこなわれている、薬剤を用いて肌を脱色・漂白するスキン・ブリーチングと呼ばれる実践を考察対象とする。ジャマイカでは2000年代半ばより、スキン・ブリーチングは、黒人であることの誇りを損なう行為であると同時に、健康被害の原因となる危険な行為として、社会問題視されている。本研究課題の目的は、スキン・ブリーチングを、ローカル・ナショナル・グローバルな諸力との関係のなかで構築されてきた複数の身体イメージと、みずからの身体のあいだでおこなわれる加工を通じた交渉の実践と位置づけ、その実践を通じて共同性の源となる黒人性が刷新されていく動態を描き出すことである。平成26年度は、以下の研究をおこなった。
1.ジャマイカのスキン・ブリーチングの特異性に関する研究
本研究では、スキン・ブリーチングに関する各種の記事や、ニュースやドキュメンタリー映像、先行研究でも取り上げられていたレゲエ音楽を分析対象として、スキン・ブリーチングをめぐる言説の傾向について検討した。
2.ジャマイカにおけるスキン・ブリーチングの位置づけに関する研究
2015年2月に、首都キングストンで2015年度夏期に予定している調査の予備的な調査をおこなった。薬剤の販売方法や流通経路の聴き取り、住民のスキン・ブリーチングに対する意識に関するアンケート・インタビュー調査をおこなった。