国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

平成29年度文化資源計画事業一覧

 

 

資料関連

本計画事業では、①有形文化資源の保存対策立案:総合的有害生物管理の考えに基づいた生物被害対策、②資料管理のための方法論策定:博物館の環境調査、収蔵庫の狭隘化対策とともに、資料管理に関わる基礎研究・開発研究と事業を企画、実施、統括した。
本事業は、標本資料の正確かつ詳細な画像情報を記録し、標本資料を有効に活用するための基礎的データの蓄積を目的としており、大学共同利用機関として資料に付随する情報の公開等に供するデータを作成することを目的としており、平成29年度は3,600点(みなし点数)の資料を撮影することとした。
本事業は、本館が所蔵する標本資料に関する情報の作成及び資料の整理等を行うとともに、当該資料に関する情報サービス、展示準備・展示運営のための資料管理及び情報の作成・管理等をおこなうものである。
本事業は、本館が所蔵する標本資料に関する情報の作成及び資料の整理等を行うとともに、当該資料に関するデータベース掲載情報の作成、更新作業及び「人類の文化資源に関するフォーラム型情報ミュージアムの構築」に係るデータ整理業務をおこなうものである。
関西大学環境都市工学部建築学科の西澤英和教授が、研究のために京都伏見の農家から入手した、日本の江戸時代中期以降に普及した灌漑用の足踏み式揚水機(踏み車)の寄贈受入をおこなうものである。
岸和田市日中友好協会の役員をしていた鎮谷和夫氏が保管していた中国貴州省の女性用民族衣装の寄贈受入をおこなうものである。
本事業は、カザフの男児用衣装、腕輪、サモワールの部品等、中央・北アジア展示に係る資料を寄贈したものである。
中央・北アジア展示で展示中のゲルとともに展示すべき生活用具として、ミルク桶と付属する飼料袋を寄贈したものである。
東京都目黒区の民芸品ショップ「グラナダ」のオーナー、河村美代子氏から寄贈されたメキシコ国メキシコ州メテペックで制作された「生命の木」を受け入れた。
中国雲南省大理ぺー族自治州大理市の農村部に居住するぺー(白)族が使用する楽器「雲鑼」を打つバチを、寄贈するものである。
本館名誉教授である庄司博史教授が1993年に現地でトゥー(土)族の調査を行った際、現地で購入女性が着用する刺繍靴の寄贈受入をおこなうものである。
福井県福井市大森町に伝わる伝統行事「睦月神事」の衣装である笠を受け入れたものである。
大野聡子氏から寄贈申し入れを受けたマレーシア先住民の彫像およびインドネシアの織物を、国立民族学博物館所蔵資料として寄贈受け入れをおこなった。
東京都世田谷区在住の立花雅子氏から寄贈された、メキシコ国ナヤリト州コラ民族居住地で制作された仮面(10点)、メキシコ市で制作された骸骨人形(8点)、その他の民芸品、計23点を受け入れた。
本事業は、カザフの装身具等、中央・北アジア展示に係る資料を寄贈したものである。
日本の文化展示新構築に伴い、山の暮らし(家畜飼育)を紹介するための資料として岩手県岩泉町安家の牛市で使用されていた伝票(牛のせり出場名簿)を寄贈受け入れするものである。
モンゴルの低発酵チーズである「スーンホロート」の製造に用いる木型2点を寄贈したものである。
吹田市に在住のカトリック信者の方から、年輩の女性信徒から譲り受けた祈りの道具(カメオのブローチ兼ネックレス・メダイ)の寄贈を受け入れた。
結納の際に使用される昭和10年前後作製の西陣織のふくさ3点の寄贈受入をおこなうものである。
寄贈者である大貝威芳氏が、1960年代半ばにカナダで入手した、カナダ・ラブラドルのイヌイットが制作した小型の滑石彫刻品を受け入れたことである。
民族芸術の研究者である外山卯三郎氏が1970年代に収集した台湾原住民族のヤミならびパイワンの工芸品のコレクションの寄贈を受け入れたものである。
東南アジアにおける植物利用研究の専門家である吉田よし子氏が収集した、フィリピンならびに周辺島嶼地域における、衣服や織物のコレクションの寄贈受け入れをおこなったものである。
著名な自然人類学者である尾本恵市氏が収集したオーストラリア・アボリジニに関する資料の寄贈受け入れをおこなったものである。
木彫レリーフの寄贈の申し出があり、背景情報の付随する貴重な資料であるため、受け入れた。
木彫レリーフの寄贈の申し出があり、背景情報の付随する貴重な資料であるため、受け入れた。
木彫りの熊の寄贈の申し出があり、背景情報の付随する貴重な資料であるため、受け入れた。
藤田裕二氏が、インド、ボンベイ(現ムンバイ)市に駐在時の1980年代に入手したインド楽器資料2点(シタール、ハルモニウム)を受け入れた。
本資料は、2017年4月15日に京都大学で「編組品とその植物素材」をテーマとする民族自然誌研究会(第86回)が開かれた際、報告者である西表島在住の星公望氏が教材として西表島から持参された資料を受け入れたものである。
姉川みさ氏から寄贈申し入れを受けたインドネシアの民族工芸資料を、国立民族学博物館所蔵資料として寄贈受入をおこななった。
寄贈者である高橋博己氏が、カナダに駐在中に入手した、カナダ・ラブラドルのイヌイットが制作した石製彫刻品「セイウチ像」を受け入れたことである。
失蝋法(lost-wax casting)の過程をよく示す、製作途中の真鍮細工装身具を資料として受け入れたものである。
カナダ先住民メイティ(メイティス)の文化的象徴物であるサッシュ(飾り帯)1つとカナダ先住民オジブウェの画家ダフネ・オジグ(Daphne Odjig)の絵画カード4枚の寄贈を受け入れた。
立教大学名誉教授の青柳まちこ氏が1962年7月から1963年1月にかけてトンガ王国のトンガタプ島とハアパイ諸島で行った調査において収集した樹皮布、ござ、スカート、カヴァ儀礼用具等の寄贈受入をおこなった。
日本の日中友好協会の会員であった石渡歌子氏がチベット自治区訪問の折、チベット族から購入したチベット族女性用民族衣装の寄贈受入をおこなうものである。
岸和田市日中友好協会の役員をしていた鎮谷和夫氏が保管していた中国貴州省の女性用の頭飾りの寄贈受入をおこなうものである。

 

 

展示

2016年にリニューアルした中央・北アジア展示を、より分かりやすく正確な展示に改めるため、一部の資料の追加やキャプション改訂などをおこなった。
「アイヌ」の英語表記の修正、キャプション解説等と映像機器の追加による情報の補填、一部のパネルのサイズと設置位置の変更、資料の演示位置の変更、および照明・什器の改修による見やすさの改善等をおこなった。
2018年の干支である「いぬ」を題材に民博が所蔵する資料をパネルとともに展示し、人々の暮らしの中で犬が果たしてきた役割や姿を示した。また民博の教職員を対象にした研修として、展示資料の撮影と説明文の作成など、展示に関わる様々な活動の研修を行った。本年度は丸川雄三准教授が中心となり事業を実施した。

 

 

博物館社会連携

国立民族学博物館におけるボランティア活動者の受入要項に基づき、登録したボランティア団体であるMMP(みんぱくミュージアムパートナーズ)の活動支援をおこなった。
ワークショップの実施、展示新構築にともなうワークシートの更新作業、ワークシート新規作成に向けた調査などを実施した。その目的は、本館での研究活動と展示の内容を、来館者を中心とする利用者に、たのしみながら効果的に理解してもらうためであり、また利用者からの様々な意見や要望を本館の活動に反映させるためである。
「普通のムスリム」の日常が知りたいという教育現場での需要に応え、アラブ世界に限ることなく地域横断的なムスリムの生活用品を集めたみんぱっくを制作した。
本館の教育機関向け貸出キット「みんぱっく」に関して、アフリカ地域を知りたいという教育現場からの要望が多いため、エチオピアの民族の多様性に焦点をあてたパックを新たに制作する。平成30年度の制作実施に向け、平成29年度は基本コンセプトと内容を検討し、内容物の収集をおこなった。
当館が所蔵するアイヌの標本資料に対して祈りの儀式(カムイノミ)をおこない、あわせてアイヌ古式舞踊の演舞等を実施し、一般公開した。さらに、工芸品製作の実演「アイヌ工芸inみんぱく」をおこなった。
「みんぱっく」は学校や社会教育施設等に宅配サービスを利用し貸出をおこなってきた。しかし平成29年度の宅配業者のサービス内容を変更に伴い、これまで通りの貸出ができないパックが発生している。本事業は引き続き宅配サービスが利用できるよう、これらのパック改訂をおこなったものである。