平成30年度文化資源計画事業一覧
資料関連
本計画事業では、①有形文化資源の保存対策立案:総合的有害生物管理の考えに基づいた生物被害対策、②資料管理のための方法論策定:博物館の環境調査、収蔵庫再編成とともに、資料管理に関わる基礎研究・開発研究と事業を企画、実施、統括した。
本事業は、標本資料を研究、展示、情報提供等に有効利用するために、標本資料の撮影、計測、及びそれらに付随する業務をおこなうものである。
本事業は、本館が所蔵する標本資料に関する情報の作成及び資料の整理等を行うとともに、当該資料に関する情報サービス、展示準備・展示運営のための資料管理及び情報の作成・管理等をおこなうものである。
本事業は、本館が所蔵する標本資料に関する情報の作成及び資料の整理等を行うとともに、当該資料に関するデータベース掲載情報の作成、更新作業及び「人類の文化資源に関するフォーラム型情報ミュージアムの構築」に係るデータ整理業務をおこなうものである。
現在モンゴル高原の遊牧民たちに一般に利用されている生活用品として、手洗い器を寄贈したものである。
奈良県在住であった故大西尚明氏(1923-2004)が長年にわたり収集した楽器および音楽関連資料のうち76点の寄贈受入をおこなった。
現代中東研究拠点主催の講演会をパリの日本文化会館で開き、そこで提案者とマスウーディー氏の対談を行った。翌日、氏のアトリエを訪れ、みんぱく用にと2009年~2010年制作の3点の作品を受け取った。選定はマスウーディー氏自身がおこなったものである。
本事業は、国立民族学博物館友の会の会員である佐藤直子氏が、1980年代後半1990年代にかけて各地で収集した生活資料を受け入れるものである。各地域の担当研究員が資料を確認し、寄贈受け入れを申請したものである。
神戸女子大学の梶原苗美教授が1980年頃に海外学術調査チームの一員として、パプアニューギニアに赴いた際に入手した太鼓、仮面、弓矢等と、2000年~2005年にインドネシアで入手した樹皮布、石斧の寄贈受け入れをおこなった。
『能楽ジャーナル』の編集長を務め、能楽評論の確立に尽くした故堀上謙(ほりがみけん)氏(1931~2016)が、長年にわたり収集した世界各地の仮面96点の寄贈を受け入れた。
本事業は、平成29年度で本館を退館された印東道子名誉教授が、研究活動の中で収集した民族誌資料の寄贈を受け入れたものである。
2017年度の特別展示『ビーズ-つなぐ、かざる、みせる-』をきっかけにして、さまざまな方から自宅に保管されていた主に昭和時代の日本のビーズバッグを館に寄贈申請いただいた。
ブータンの染織研究家である山本けいこ氏が、1983年から現地で収集してきた民族衣装を主とするコレクション約260点を寄贈受入し、南アジア資料の一層の充実を図った。
現在残っている昭和時代以前の堺緞通の大型織機は、堺市博物館蔵の緞通織機のみであり、当該資料はそれと同程度の約3m幅の枠型開孔板綜絖を備えている。本事業は、このような染織研究の資料として貴重な堺緞通織機(枠機)の寄贈を受け入れたものである。
本事業は、大阪市立大学のカンボジア学術調査隊に参加した野村穣氏が現地で収集した弓矢、ハンモック、漁撈用の籠を寄贈受け入れし、東南アジア資料の充実を図るものである。本館初代館長梅棹忠夫氏が率いた学術調査隊に関連した資料であり、学術的な意義が高い資料である。
モンゴル国の西部に集中して居住するカザフ人女性たちは、中国から1930年代に移住して以来、隣接するカザフスタンや中国のカザフ人と比較して、手芸に極めて熱心であり、グローバルビジネスに発展している。これらの貴重な証として本館で寄贈受け入れをしたものである。
2017年度の特別展示『ビーズ-つなぐ、かざる、みせる-』をきっかけにして、さまざまな方から自宅に保管されていた主に昭和時代の日本のビーズバッグを館に寄贈申請いただいた。さらにそれを補完するものとして4点の寄贈を受け入れた。
十九世紀までにタイに戦争捕虜として現ベトナム地域から移住させられた黒タイ族が、ペッブリーで伝えてきた伝統衣装を受け入れた。
社会主義時代のコミュニケーションの一つとして、女性の日や革命記念日など公式的な場所に正式な招待状を送りあう習慣があった。この慣習をとどめる貴重な証として、本館で寄贈受け入れをしたものである。
本事業は、朝日新聞で5年間続いた連載「花おりおり」で写真を担当した植物写真家の矢野勇氏が東南アジアで収集した笠のコレクションを寄贈受け入れし、東南アジア資料の充実を図るものである。一部、日本の笠も含まれているが、比較研究等のために必要なので受け入れた。
犀鳥は天上界を媒介する動物と考えられ、ボルネオ島諸民族のあいだでは主要な美術モチーフのひとつである。本事業では、寄贈者がマレーシアで入手したサイチョウに関わる彫像3点の寄贈を受け入れた。
ミニチュアのアイヌの伝統衣装を着た人形の寄贈申し出があり、本館には同様の収蔵品はなく、今後の展示等に活用できる資料であるため、受け入れた。
本事業は、寄贈者である宮崎妙子氏の夫である宮崎浩氏が1968年に地質調査の為にパプアニューギニアに派遣された際に現地で収集した仮面他資料を受け入れたものである。
2018年10月から12月にかけて科研費で渡米した際に、民博の展示場更新(アメリカ展示場)に関連する資料収集も行った(平成30年度 標本・映像音響資料収集等計画「米国南西部先住民の宝飾品」コーナーの新規資料収集)。その時に先住民アーティストは、民博への寄贈を前提として、対価を求めず作品を譲渡してくれることもあった。そのようにして得た作品や作品制作のための道具など合計19点を民博の資料として登録するために、本プロジェクトを起案し、実施した。
十九世紀までにタイに戦争捕虜として現ベトナム地域から移住させられた黒タイ族が、ペッブリーで伝えてきたブラウスなどの伝統衣装を受け入れた。
中国地域の文化展示新構築の際に、個人蔵および個人の所有資料の複製を作成し展示されていた「華僑・華人」セクションのキューバのチャイナタウンのポスターならびにレストラン・メニューについて、現物資料の寄贈受け入れをおこなったものである。
展示
企画展が開催されていない時に実施している「知をデザインする-特別展にみる世界25年 民博の25年」の内容を最新の情報に更新し、来館者に民博の展示活動への理解を深めることをできる空間を整えた。
2019年の干支である「いのしし」を題材に民博が所蔵する資料をパネルとともに展示し、世界各地の人々の暮らしの中でいのししが果たしてきた役割や姿を示した。また民博の教職員を対象に、展示資料の撮影と説明文の作成など、展示に関わる様々な活動に従事する研修をおこなった。
博物館社会連携
国立民族学博物館におけるボランティア活動者の受入要項に基づき、登録したボランティア団体であるMMP(みんぱくミュージアムパートナーズ)の活動支援をおこなった。
ワークショップ実施とワークシート新規作成に向けた調査結果を、社会連携事業検討ワーキングにおいて検証し、ワークシート改訂のための方向性を定めた。これによって、本館での研究活動と展示の内容を利用者に楽しみながら理解してもらうこと、また利用者からの様々な意見や要望が本館の活動に反映されることが期待できる。
社会連携活動の一環として、出演者187名(25組)が本館講堂およびエントランスホールにて演奏する音楽イベントを開催した。
本館の教育機関向け貸出キット「みんぱっく」に関して、アフリカ地域を知りたいという教育現場からの要望が多いため、エチオピアの民族の多様性に焦点をあてたパックを新たに制作する。平成31年度運用開始に向け準備を進めていたが、平成30年6月18日に発生した大阪府北部を震源とする地震により、制作作業に必要な燻蒸庫(カポックス)が一時停止したため運用開始時期を半年延長した。
平成30年度は、公益社団法人北海道アイヌ協会と調整をおこない、八雲アイヌ協会・苫小牧アイヌ協会(15名)が主体となり、平成30年11月7日に準備と打ち合わせ、11月8日に公開でカムイノミと演舞、および館内向けに伝統料理の共食をおこなった。
学校機関や各種社会教育施設を対象に貸出を行う学習キット「みんぱっく」は、パック制作後10年を耐用年数とし、また、時代に即した内容にするためにも改訂を行う必要がある。平成30年度は「アイヌ文化にであう(平成21年度製作)」「アイヌ文化にであう2―樹皮からつくる着物(平成23年度製作)」の内容物確認と改訂後の内容物の検討をおこなった。