国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館外での出版物

災害と文化財――ある文化財科学者の視点から

2015年2月27日刊行

日髙真吾 著

一般財団法人 千里文化財団
【共同研究成果/文化資源研究プロジェクト成果/人間文化研究機構連携研究】

出版物情報

主題・内容

本書は2011年の東日本大震災を契機とした文化財レスキュー事業の活動を軸に、地域復興との地域の文化財の関係について取りまとめたものである。その内容は、文化財レスキューそのものにとどまらず、地域にとっての文化とは何かという問いを、筆者が関わった阪神・淡路大震災、中越地震、能登半島地震での被災文化財の支援活動の経験も盛り込んだものとなっている。豊かな社会復興のために、その地域で連綿と受け継がれてきた文化がどのような役割を果たすのかについての試論を展開した。

目次

はじめに
序章 災害による文化財レスキュー事業は必要か
第1節 はじめに
第2節 文化財保護法の観点にたった文化財レスキューの意義
第3節 被災地に文化財を残すための文化財レスキューの意義
第4節 小結
第1章 災害発生時の文化財の支援活動-救出から応急措置まで
第1節 はじめに
第2節 文化財等レスキュー事業の概要
第3節 救出活動
第4節 一時保管と整理・記録
第5節 応急措置
第6節 小結
第2章 被災文化財から文化財へ-保存修復および恒久保管
第1節 はじめに
第2節 民俗文化財の保存処理
第3節 能登半島地震で被災した穴水町指定文化財「明泉寺台燈籠」の保存修復
第4節 東日本大震災で被災した民俗文化財の脱塩処理
第5節 一時保管場所の環境改善-気仙沼市旧月立中学校での取り組み
第6節 小結
第3章 被災文化財を再生する-研究・活用
第1節 文化財再生の試み
第2節 能登半島地震で被災した穴水町指定「明泉寺台燈籠」の研究
第3節 被災文化財を活用し地域文化の理解を促す試み
第4節 被災地における無形民俗文化財への眼差し
第5節 博物館展示と被災文化財
第6節 小結
終章 終章 未来へ-災害の経験をどのように活かし、どのように伝えるのか
第1節 文化財の防災と減災
第2節 ミュージアムの危機管理に関する研究活動
第3節 被災した民俗文化財の応急措置ワークショップの取り組み
第4節 結びにかえて
あとがき