国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館外での出版物

〈断〉と〈続〉の中東――非境界的世界を游(およ)ぐ ★

2015年3月10日刊行

堀内正樹、西尾哲夫 共編著

悠書館
【共同研究成果】

出版物情報

主題・内容

「イスラム国」問題をはじめ、既成の学問の枠組みをはるかに超えてしまった現実世界を学問はどう捉えかえすのか?―長く中東地域をフィールドとしてきた人類学者が、新たな世界理解の方法を模索する。

目次

まえがき (堀内正樹)
第I部 コミュニケーションの相貌
1.「不完全」な意志疎通―オマーンの生活世界はかくして成り立っている(大川真由子)
   *コラム:研究会を終えて
2.私は舌を持っている―イエメンのカート商人の局所的知識(大坪玲子)
   *コラム:研究会を終えて
3.落ちた「子宮」─モロッコ農村部の女性たちの語りの分析(井家晴子)
   *コラム:モロッコの出産と私の出産
4.短めの言葉―暴力の経験を語りだす人(池田昭光)
   *コラム:隙間のある言葉
5.商いと人―モロッコのベルベル人に学ぶ非境界(齋藤剛)
   *コラム:メタ情報としての人への関心
第II部 地理空間と社会空間
6.世界に散らばるレバノン系・シリア系移民─グローバル化と移民、出稼ぎ労働者、難民のはざまで(宇野昌樹)
   *コラム:研究会を終えて
7.海を渡る聖者の「記憶」―ハドラマウトとインドネシアにおけるハウル(聖者記念祭)を通じて(新井和広)
   *コラム:ハドラミー聖者の今後
8.紛争とともに住むこと―イスラエルとパレスチナの境界(錦田愛子)
   *コラム:人文科学と社会科学の狭間で
第III部 時間を超えて
9.孤高の楽師―「数」を偏愛するベルベル吟遊詩人(小田淳一)
   *コラム:データ表現とデータ処理のジレンマ
10.小さなメロディーが開く世界―モロッコ(堀内正樹)
第IV部 象徴のはたらき
11.「迎合」か「柔軟」か─都市におけるアレヴィーの生き方(米山知子)
   *コラム:研究会を終えて
12.かくしてウンム・クルスームはレジェンドとなった―レパートリー深読み(水野信男)
   *コラム:越境する芸術
13.枠物語異聞―もうひとつのアラビアンナイト、ヴェツシュタイン写本試論 (西尾哲夫)
あとがき (西尾哲夫)