国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

国立民族学博物館論集(みんぱく論集)

[1]生業と生産の社会的布置――グローバリゼーションの⺠族誌のために

2012年3月30日刊行

松井健、野林厚志、名和克郎 共編

岩田書院

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出版物情報

  • 出版社:岩田書院 出版社ホームページはこちら
  • 2012年3月刊行
  • 定価:7,500円(税別)
  • ISBN:978-4-87294-744-1
  • 判型・体裁:A5・上製本・カバー装
  • 頁数:418頁

主題・内容

2006年から2009年にかけて実施された同タイトルの共同研究会の成果論集。本研究会の成果はすでに昭和堂より編者を同じくする『グローバリゼーションと〈生きる世界〉―生業からみた人類学的現在―』(2011)が刊行されており、本書はそれと対をなす成果論集である。今、現実に生じている現象をフィールドワークにもとづく力強い記述と分析とでとらえた諸論考は、近年の民族誌ではややもすれば形式的に扱われがちであった生業という主題が有する問題群を洗いなおすとともに、グローバリゼーションを望見することで、生業概念そのものを肥沃にし、生業研究には関連諸領域が接合しあっていることを明確に示している。

目次

序 章 「生業と生産の社会的布置」と民族誌という企図  松井健
第Ⅰ部 今日的変容―主体性と能動性
第1章 チャングリヤール達の100年 ―ネパール、ビャンスにおける生業と生産の展開と変容―  名和克郎
第2章 「エランドの肉も、ウシのミルクも」 ―狩猟採集民サンの多様な生計維持活動  丸山淳子
第3章 里海の多面的関与と多機能性 ―沖縄県恩納村漁協の実践から─  家中茂
第Ⅱ部 「伝統」との連接と離接
第4章 漁師と船乗り ―マダガスカルとモザンビークにおける漁村伝統の対照性─  飯田卓
第5章 西アフリカ・サヘル帯における農村の生業を支える伝統的慣行と食料不足の拡大  大山修一
第6章 アオバナのゆくえ ―地域農業と特産物の変容─  落合雪野
第Ⅲ部 モノを介する関係性から
第7章 工芸生産をめぐる民族間関係 ―台湾におけるマジョリティとマイノリティの相互作用―  野林厚志
第8章 スーヴニールの交錯とダイナミズム ―アジア工芸の拡散変容の一側面─  松井健
第9章 グローバル時代を生きる錦鯉 ―日本文化の拡散と脱国籍化、現地化─  菅豊
第Ⅳ部 グローバリゼーションを超える構想力
第10章 純粋贈与されるゾウ ―バカ・ピグミーのゾウ肉食の禁止とシェリングをめぐる考察―  安岡宏和
第11章 マルチチュードの絶対的民主主義は可能か? ―カナダ・イヌイトの生業からみる生政治的生産の可能性  大村敬一
第12章 市場経済に潜り込む生業世界 ―西ケニア山村の21世紀―  松田素二
跋  野林厚志
索引