国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

国立民族学博物館論集(みんぱく論集)

[3]中国社会における文化変容の諸相――グローカル化の視点から

2015年3月31日刊行

韓敏 編

風響社
【共同研究成果】

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出版物情報

主題・内容

19世紀までにさかのぼり、支配と被支配の構図からではなく、複数文化の出会う場、土着化の場として、上海租界、近代の火葬場、チャイナタウンを取り上げ、欧米・日本・中国人の音楽家、チャイナタウンの店側、消費者、地元社会と中国政府などを、複数のアクターとして扱った。また、西洋の近代化、社会主義革命というもう一つの近代化という二つの軸を交差的に考察し、グローバルな文化遺産保護の展開と関連する芸能と祝祭を分析し、中国のグローカル化の複層性を解明した。

目次

序論
中国社会における文化の再構築とグローカル化(韓敏)
第1部 歴史の視座からみる中国のグローカル化
上海租界のなかの西洋文化:亡命ロシア人とユダヤ人がもたらした芸術音楽の受容プロセス(井口淳子)
中国における火葬装置、技術の普及と労働現場の人類学:新たな技術を受容し、環境を再構成する人々に着目して(田村和彦)
銅像のジェンダー:社会主義的身体表象に関する考察(高山陽子)
キャンベラの「中国城」を生きる孔子・チャイナフード:越境するグローカル化の中国表象への試み(高明潔)
第2部 文化行政からみるナショナル・地域の文化遺産
グローカル化における祝祭日の再構築:中国の端午節の文化変容を事例に(謝茘)
項羽祭祀の伝承とその文化遺産化:安徽省和県烏江鎮の「3月3覇王祭」(韓敏)
中国における無形文化遺産をめぐるグローカリゼーションの一側面:広東省珠江デルタの「中山咸水歌」を例に(長沼さやか)
博物館建設と学校設立にみる伝統演劇界の再編過程:陝西地方・秦腔の事例から(清水拓野)
第3部 個人や企業主導の文化実践と表象
チワン族の繍球文化:その実践とシンボリズム(塚田誠之)
農民画という「アート」の創生:プロパガンダから観光商品へ(周星)
葬儀産業の形成から見る文化の伝承と変容:上海市を事例に(何彬)
グローカリゼーションという視点から見た祭祀空間としての家屋の変遷:広東省珠江デルタの事例から(川口幸大)
町に出るピモ:県城におけるピモ(彝族祭司)の活動(清水享)
あとがき
索引