国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

国立民族学博物館調査報告(Senri Ethnological Reports)

No.58 ガーナ東部州、スフム・ディストリクトにおける医療と食生活に関する実態調査報告

2005年12月26日刊行

和田正平・江口一久 著

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刊行の目的および意義

本書の刊行目的は西アフリカ、ギニア湾に面するガーナ共和国、東部州、スフム・ディストリクトに位置するアコラボ村において行った医療と食生活に関する実態調査の結果を報告することにある。調査は1981年5月、和田、江口、石沢(京都府)の3名が国際協力事業団の短期専門家に任命され、派遣国ガーナにおいてJICAの医療協力プロジェクトの基礎調査として実施されたもので、基本的には日本とガーナによる国際研究の成果である。調査期間は1981年5月9日より同年6月16日までの39日間で、インタヴュによるアンケート悉皆調査(全戸291)と聞き書き調査を併用、実施した。調査票はコピーをガーナ側に、原票は我々が日本に持ち帰り、民博において集計、整理分析を行った。調査費用は全てJICA医療協力部から支出されたが、出版に関しては編集及び著作権等の問題でガーナ側と折合いがつかず、調査結果の一部を口頭発表するしか仕方なかった。しかし、その後時間が経過し、調査当時の諸問題は消滅したが、こんどは出版刊行の時機を失ってしまった。またガーナ国自体が調査当時とは大きく変化した。1980年頃は、ガーナは国家財政が破綻し、社会的にも混乱していたが、1990年以降は経済が復興し、目下、学術調査は自然科学的にも社会科学的にも着実に進展しつつある。こうした状況に鑑み、我々の、この調査が、ガーナ東部州の人々の医療と食生活の変化を知るうえで現段階の非常な貴重なデータになってきた。またアフリカの農村社会において短期間に実施する文化人類学のアンケート調査としては他にあまり類例を見ないもので、いわばひとつのモデル調査といえるものである。以上、ガーナにおける医療と食生活だけでなく、健康全般の向上、促進を考えるための指針となることを願って、この報告の出版を願い出るしだいである。

 

目次

1. 調査の準備と経過
2. 調査地の概要
3. 訪問調査──その整理と分析
4. 付表──集計結果
5. 石沢報告
6. 教育施設
7. アコラボ旧村
8. 質問紙
9. 業務日誌
  あとがき
 

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