国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

国立民族学博物館研究報告 1988 13巻1号

目 次
国家的過程のなかの民族文化
―インドネシア,トラジャにおける伝統的文化の現代的位相―
山下晋司    
1
オーストラリア・アボリジニ社会再編成の人口論的考察
小山修三
37
クーラとタンボール
―北部ブラジルの憑霊カルトにおける成巫過程―
古谷嘉章
69
航海術と海の生物
―ミクロネシアの航海術におけるPwukofの知識―
秋道智彌
127
彙 報
 
175
国立民族学博物館研究報告寄稿要項
 
180
国立民族学博物館研究報告執筆要領
 
181


BULLETIN OF THE NATIONAL MUSEUM OF ETHNOLOGY Vol. 13 No. 1 1988

YAMASHITA, Shinji
Ethnic Culture in the Process of Nation-Building: The Toraja Cultural Tradition in Contemporary Indonesia
1
KOYAMA, Shuzo
Aboriginal Population Dynamics: An Overview
37
FURUYA, Yoshiaki
Cura and Tambor: Shamanizing Processes of Possession Cults in Northern Brazil
69
AKIMICHI, Tomoya
Navigational Knowledge of Sea Life (Pwukof) in Satawal, Central Caroline Islands, Micronesia
127


 

国家的過程のなかの民族文化
―インドネシア,トラジャにおける伝統的文化の現代的位相―
山下 晋司*
Ethnic Culture in the Process of Nation-Building:
The Toraja Cultural Tradition in Contemporary Indonesia
Shinji YAMASHITA
 
*広島大学,国立民族学博物館共同研究員

Ⅰ.序
Ⅱ.国家による文化の再構成-トラジャの観光開発-
1. インドネシアにおける政治の文化の再編成
2. トラジャの観光開発
3. 観光開発の背景-文化の政治学-
4. トラジャにおける宗教と政治の再編成
5 .観光開発の影響
Ⅲ.書かれる文化
1. 書かれる文化
2. 二人のトラジャ人フォークロリストとその著作
3. 書物のなかの文化,パフォーマンスとしての文化
Ⅳ.文化の柔軟性とエスニック・アイデンティティ
1. 伝統宗教への回帰
2. キリスト教徒による「伝統的儀礼」
3. キリスト教への改宗
4. 儀礼をめぐる物知りの解釈,普通の人々の解釈
5. エスニック・アイデンティティ―社会の変化と文化の再統合―
Ⅴ.結語

 

オーストラリア・アボリジニ社会 再編成の人口論的考察
小山 修三*
Aboriginal Population Dynamics: An Overview
Shuzo KOYAMA
 
 
*国立民族学博物館第4研究部

Ⅰ.アボリジニ社会とアウトステーション運動
Ⅱ.アボリジニの人口
A.人口論的アプローチ
B.人口変動の歴史
1. 自然増加期(35,000年前-1788)
2. 崩壊期(1788-1921)
3. 回復期(1921-現在)
Ⅲ.アボリジニ社会の崩壊と復興
A.崩壊の要因
B.人口増加へのプレコンディション-人口増加
1.外的要因
2.内的要因
Ⅳ.伝統的アボリジニ社会の変容―ノーザンテリトリーの歴史―
A.開拓の時代
B.ミッションとリザーブ
C.伝統社会の再生への基盤
Ⅴ.アウトステーション運動と社会再編成
A.アウトステーション運動の勃興と制度化
B.伝統社会の確立
C.芸術と社会の復興
Ⅵ.異文化接触の顚末

 

クーラとタンボール
―北部ブラジルの憑霊カルトにおける成巫過程―
古谷 嘉章*
Cura and Tambor: Shamanizing Processes of Possession Cults in Northern Brazil
Yoshiaki FURUYA
 
*東京大学教養学部,国立民族学博物館共同研究員

1.はじめに
2.シャマニズムと精霊憑依
3.ブラジルの憑霊宗教伝統
4.バトゥーケ:ベレンの憑霊宗教
5.ミナ・ナゴ・カルト
6.ミディアムの道:それぞれの成巫過程
7.クーラ複合とタンボール複合
8.おわりに


航海術と海の生物
―ミクロネシアの航海術におけるPwukofの知識―
秋道 智彌*
Navigational Knowledge of Sea Life (Pwukof) in Satawal, Central Caroline Islands, Micronesia
Tomoya AKIMICHI
 
*国立民族学博物館第1研究部

Ⅰ.序論
1.はじめに
2.Pwukofの知識とは
Ⅱ.Pwukofの分析
1.記述内容の分析結果
2.知識の異同点
Ⅲ.討論と結論
1.Pwukofのフォーク・インタプリテーション
2.Pwukofの知識の性格をめぐって
3.海洋生物と海の図像学-結論にかえて-
Ⅳ.付録-Pwukofの資料