国立民族学博物館研究報告 1989 14巻1号
目 次
ダルマの力と帰依者たち
―東北タイにおける仏教とモータム― |
林 行夫
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1
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両手の拳,社会,宇宙
―手の指による数の指示法に組み込まれたキプシギスのコスモロジー― |
小馬 徹
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117
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チカーノの来た道
―その歴史的経緯― |
黒田悦子
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167
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魚酱の起源と伝播
―魚の発酵製品の研究(8)― |
石毛直道
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199
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彙 報
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251
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国立民族学博物館研究報告寄稿要項
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256
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国立民族学博物館研究報告執筆要領
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257
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BULLETIN OF THE NATIONAL MUSEUM OF ETHNOLOGY Vol. 14 No. 1 1989
HAYASHI, Yukio
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The Making of the Power of Thamma: Mo Tham and Thai Buddhism in the History of Thai-Lao Peasants
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1
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KOMMA, Toru
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Both Hands, Society, and Cosmos: Kipsigis’s Cosmology Embeded in Their Counting System on Fingers
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117
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KURODA, Etsuko
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Major Aspects of Chicano History
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167
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ISHIGE, Naomichi
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Origins and Distributions: A Study of Fermented Aquatic Products (8)
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199
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ダルマの力と帰依者たち
―東北タイにおける仏教とモータム―
―東北タイにおける仏教とモータム―
林 行夫*
The Making of the Power of Thamma: Mo Tham and Thai Buddhism in the History of Thai-Lao Peasants
Yukio HAYASHI
*国立民族学博物館第4研究部
Ⅰ.序
1. 問題の所在
2. タンバイアにみるモータム論
3.「仏教化」と「国教化」
Ⅱ.開拓村の成立過程と宗教儀礼の構成
1. 調査地域の成立過程
1) 開拓空間としてのコラート高原
2) 開拓空間の停滞と「良田探し」
2. 調査地域の宗教とその変容
1) 村落社会と宗教
2) 「森」の変容
3) 守護霊信仰の変容
Ⅲ.守護力の概念とモータム
1. 実践仏教と異界の相克
1) 再生の仏教
2) 力の仏教
2. 悪霊とコーンハクサー(khong haksa)
1) 悪霊
2) 守護力と異界
3) 力の操作とウィサー
3. 守護力モータム
1) 流派と類型
2) 儀礼的役割
3) 診断・治療儀礼と悪霊の排除
4) モータムによるタンマの意味
5) タンマの社会的位相
Ⅳ.モータムと信奉者の社会的関係
1. 信奉者になること
2. モータムと信奉者の内訳
3. モータムと信奉者の関係が意味するもの
4. モータム定着の社会的位相
Ⅴ.国教化過程にみる頭陀行僧とタンマ
1. 国教としての仏教
2. タマユット派以前-王朝仏教の復興
3. タマユット派の設立と改革
1) 「新たな仏像」像
2) 「東北タイ仏教」と中央(シャム)化
3) タマユット派地方寺院の周辺
4. 頭陀行僧の排出-民衆の師と土着信仰の改編
1) 頭陀行僧と瞑想の仏教
2) 頭陀行ルートと諸活動
3) テート師回想録にみる頭陀行僧輩出の背景
5. 守護力と千年王国的運動
1) 守護霊信仰の排除
2) 未来仏信仰と千年王国的運動
Ⅵ.むすびにかえて
【付録】モータムになること-口述史にみる師弟関係の系譜-
1. タム・オラハンの師弟関係の系譜
1) 開祖と布教者
2) 弟子入りと学習
2. タム・ルオンポーの系譜
1) 開祖と布教者
2) I氏にみるルオンポー派の位置づけ
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両手の拳,社会,宇宙
―手の指による数の指示法に組み込まれたキプシギスのコスモロジー―
―手の指による数の指示法に組み込まれたキプシギスのコスモロジー―
小馬 徹*
Both Hands, Society, and Cosmos: Kipsigis's Cosmology Embeded in Their Counting System on Fingers
Toru KOMMA
*大分大学,国立民族学博物館共同研究員
はじめに
1. 数詞体系の概略
2. 方法論と問題の所在
2-1. 方法の概略
2-2.「民間語源」あるいは「語源俗解」
2-3.「民間語源」の文化・社会的インパクト
2-4. 数の概念と「民間語源」
3. 基本的な数詞に結合した諸概念
3-1. 手の指による数の表わし方
3-2. 1(agenge)の表わす観念
3-3. 2(aeng’)の表わす観念
3-4. 3(somok)の表わす観念
3-5. 4(ang’wan)の表わす観念
3-6. 5(mut)の表わす観念
3-7. 6(lo)の表わす観念
3-8. 7(tisap)の表わす観念
3-9. 8(sisit)の表わす観念
3-10. 9(sogol)の表わす観念
3-11. 10(taman)の表わす観念
3-12. 20以上の数の表わす観念
4.時間と空間をめぐる諸観念に結び付けられた5(mut)と10(taman)
4-1. mutai-朝/明日
4-2. amut-昨日
4-3. 10(taman)と関連する時間の指標
4-4. 月名と5(mut)
5.動詞の時制と指示副詞
6.数観,時間観,空間観,存在観,及びコスモロジー
6-1. 存在観(存在論)
6-2. 存在観と数観の対応
6-3. コスモロジーの概観
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チカーノの来た道
―その歴史的経緯―
―その歴史的経緯―
黒田 悦子*
Major Aspects of Chicano History
Etsuko KURODA
* 国立民族学博物館第4研究部
はじめに
1. 民族集団化への過程
2. 1960年代の復権運動
3. ヒスパニック連合の動向
あとがき
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魚酱の起源と伝播
―魚の発酵製品の研究(8)―
―魚の発酵製品の研究(8)―
石毛 直道*
Origins and Distributions: A Study of Fermented Aquatic Products (8)
Naomichi ISHIGE
*国立民族学博物館第1研究部
はじめに
Ⅰ.世界の魚酱と魚酱類似製品
1. 古代ローマの魚酱油
2. 西アフリカの発酵乾魚
3. アッサムの塩辛と乾魚
4. ブータンの保存魚
5. スリランカの塩蔵魚
6. 極北の〈酸っぱい魚〉
7. 古代中国の鮑魚
8. 系譜論的検討
Ⅱ.東アジア・東南アジアにおける魚酱の分化
1. 塩辛に起源する魚酱の分化
2. 小エビ塩辛ペーストの起源
Ⅲ.魚酱とナレズシの起源と伝播に関する歴史民族学的検討
1. 製塩史の問題
2. 東南アジア大陸部での魚酱とナレズシの起源に関する仮説
3. 東南アジアにおける魚介類発酵食品の伝播
4. 南アジアと東アジアの魚酱の関係
5. 稲作の食事文化と魚酱
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