国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

国立民族学博物館研究報告 1997 22巻1号

目 次
記憶装置としての名前
-セントラル・サン(|Guiと||Gana)における個人名の民族誌-
菅原和孝
1
農村の宗教対立を通してみた転換期のルーマニア社会
新免光比呂
93
実践的問題解決過程としての技術
-東部インドネシア・ティドレ地方の土器製作-
後藤 明
125
Aspects of Ethnicity among the Sri Lankan Malays
Bachamiya Abdul Hussainmiya
189
The Role of Nationalism in the“New Buddhism”of the Meiji Period
Brian A.Victoria
201
彙 報

235
国立民族学博物館研究報告寄稿要項

246
国立民族学博物館研究報告執筆要領

247


BULLETIN OF THE NATIONAL MUSEUM OF ETHNOLOGY Vol. 22 No. 1 1997

SUGAWARA,Kazuyoshi
A Name as a Mnemonic Device:An Ethnographic Study of Personal Names among the Central San
1
SHIMMEN,Mitsuhiro
Social Change and Religious Confliction a Romanian Village
93
GOTO,Akira
Technology as a Process of Practical Problem Solving: Pottery Making in Tidore, Northern Maluku,Indonesia
125
HUSSAINMIYA,B.A.
Aspects of Ethnicity among the Sri Lankan Malays
189
VICTORIA,Brian A.
The Role of Nationalism in the “New Buddhism” of the Meiji Period
201




記憶装置としての名前
-セントラル・サン(|Guiと||Gana)における個人名の民族誌-
菅原 和孝*
A Name as a Mnemonic Device:An Ethnographic Study of Personal Names among the Central San(|Gui and ||Gana)
SUGAWARA,Kazuyoshi
* 京都大学,国立民族学博物館共同研究員
Key Words:|Gui and ||Gana San,Xade area,social conflict,reference,communal memory
キーワード:グイ/ガナ・サン,カデ地域,社会的喜藤,指示,共同的記憶

l 序論
1 発端
2 固有名という問題
(1)記号としての名前
(2)固定指示子としての名前
3 人類学にとっての固有名研究のためのモデル
ll 調査地域の概略と調査方法
lll グイ/ガナの個人名の概略-定量的分析-
1 接触と変容の問題
2 焦点化される逸話の類型と頻度
3 個人名の構成要素とその配列
lV 名前にひそむ文化と歴史
1 焦点化されるできごと
(1)結婚のいきさつ
(2)妊娠・出産時の母体の様子
(3)ザークの薯藤
(4)夫婦の争い
(5)社会的蒼藤
(6)経済的紛争
(7)カラハリ農牧民(テべ)との関係
(8)狩猟採集・社交・幼年時の様子
2 命名の長い過程
3 生活史のなかの名づけ
(1)解釈の多義性
(2)経験の連鎖
4 長期にわたる文脈の回顧-あるいは歴史への遡行-
V 意味と指示のあいだ
1 よみがえる意味
2 指示のための諸方策
(1)テクノニミーの問題
(2)あだ名
(3)非言語による指示
Vl 討論


農村の宗教対立を通してみた転換期のルーマニア社会
新免 光比呂*
Social Change and Religious Confliction a Romanian Village
SHIMMEN,Mitsuhiro
* 国立民族学博物館第3研究部
Key Words:religious conflict,Romanian Orthodox Church,Greek Catholic Church,sect,socialism
キーワード:宗教対立,ルーマニア正教会,グレコ・カトリック教会,セクト,社会主義

1 はじめに
2 村の生活と宗教
2.1 概観
2.2 農業集団化と村人
2.3 村の生活と宗教
2.4 村人の価値意識
3 宗教対立の現状とその要因
3.1 村内のさまざまな対立
3.2 対立要困1 司祭の指導性にみる伝統的な村落の社会構造
3.3 対立要因2 西欧的価値と伝統的価値の対立の再燃
3.4 対立要因3 共同体の解体と個人意識の目覚め
4 おわりに


実践的問題解決過程としての技術
-東部インドネシア・ティドレ地方の土器製作-
後藤 明*
Technology as a Process of Practical Problem Solving: Pottery Making in Tidore, Northern Maluku,Indonesia
GOTO,Akira
* 宮城学院女子大学,国立民族学博物館共同研究員
Key Words:Northern Maluku,Tidore,pottery,manufacturing design,operational sequence, material culture,style
キーワード:北マルク,ティドレ,土器,製作デザイン,製作工程,物質文化,スタイル

1 物質文化研究の現状と本稿の目指すもの
1.1 はじめに
1.2 物質文化スタイル論-スタイルと社会-
1.3 物質文化的スタイルの階層性
1.4 社会的プロセスとしての技術-Cha_ne op_ratoire-
1.5 プロセスとしての装飾
1.6 本稿で目指すもの
2 北マルク諸島とティドレ地方の歴史と文化
2.1 北マルクの民俗文化
2.2 ティドレ地方の生計経済と工芸生産
2.3 マレ島の生活状況
3 土器の種類と形態
3.1 土器の器種と機能
3.2 Boso頬
3.3 Bura類
3.4 サゴ・オーブン
3.5 その他の器種
3.6 マレガム産土器の他地域との比較
4 土器製作の過程
4.1 マレ島の土器製作技法の特徴
4.2 粘土の準備
4.3 器形の形成
4.4 スリップ,装飾および焼成
4.5 素型の製作にみる分化のプロセス
4.6 微細な整形に見られる共通した作業パタン
5 装飾の施文プロセス
5.1 装飾の種類と施文部位
5.2 文様の種類
5.3 施文の過程
5.4 施文作業の身体的制約
6 考察と結論:物質文化の形態を決める要因は何か
6.1 製作に影響する要因とその階層化-製作デザイン-
6.2 本稿の提起した問題


Aspects of Ethnicity among the Sri Lankan Malays**
Bachamiya Abdul HUSSAINMIYA*
スリランカ・マレーにおけるエスニシティの諸相
バチャ ミヤ・アブドゥル・フサインミヤ

* University of Brunei Darusalam,Brunei
** I wish to record my gratitude for the support and facilities extended to me by the National Museum of Ethnology, Osaka, and especially to my colleagues Prof. Katsumi Tamura and Tomiyuki Uesugi for their continuous encouragement.
Key Words:The Sri Lankan Malays,The South Africa,Creole Malay,Muslims,ethnicity
キーワード:スリランカ・マレー,南アフリカ,クレオール・マレー,ムスリム,エスニシティー



The Role of Nationalism in the “New Buddhism” of the Meiji Period
Brian A.VICTORIA*
明治の「新仏教」に於ける国家主義の役割
ブライアン・A.・ヴィクトリア

* University of Auckland
Key Words:Japan,Meiji period,Buddhism,nationalism,War
キーワード:日本,明治時代,仏教,国家主義,戦争