国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

在学生の研究内容

更新日時:2018年5月25日

井上恭平INOUE Kyouhei

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専攻

比較文化学専攻

指導教員

主指導教員:関雄二/副指導教員:野林厚志

研究題目

先史アマゾニア、モホス平原における社会動態の考古学的研究―生態環境の改変と複雑社会の視点から―

研究キーワード

複雑社会、生態環境の改変、考古学、先史アマゾン、モホス平原

研究の概要

本研究は、ボリビア北東部に位置するモホス平原(Llanos de Mojos)において発掘調査を行い、出土資料を分析することで、当該地域の社会動態を解明するものである。とくに生態環境が複雑社会の成立にとって有する意味に焦点を絞る。

先史アマゾンの複雑社会研究は、これまで長らく停滞しており、その重要性が認識されることは稀であった。これは、厳しい熱帯環境が複雑社会の形成を阻害し、社会の規模を限定すると考えられていたためである。しかし、近年に入り、先史社会の人々がただあるがままの自然環境に適応するのみならず、積極的に生態環境を改変し、かなり大きな社会を築いていたことが指摘されている。

研究対象であるモホス平原はアマゾン熱帯低地のサバンナであり、乾季には干ばつするが、雨季には広範囲かけて氾濫原が広がる。こうした生態環境は、農耕定住を行う上では決して好ましい環境ではないにも関わらず、居住用のマウンドとそれに関連する耕作地跡(raised field)、マウンド間を繋ぐ道路、人口の湖など、大規模な労働投下が近年確認され、単純な環境適応とはいえない農耕定住社会が存在したと論じられつつある。しかしながら、こうした大規模な生態環境の改変が行われた時代、定住村落との関係について解明するには、具体的な考古学調査は乏しいといわざるをえない。

本研究では、モホス平原に存在した先史社会が生態改変を通してどのように複雑化していったかについて、現地での発掘調査を行って得られる考古データをもとにその実態に迫り、人類社会と生態環境の関係の動態について考察する予定である。

研究成果レポート