国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

在学生の研究内容

更新日時:2019年8月2日

拉加本LAJIABEN

[img]

専攻

地域文化学専攻

指導教員

主指導教員:南真木人/副指導教員:樫永真佐夫

研究題目

中国青海省海南チベット自治州貴南県におけるチベットの伝統的民間信仰に関する研究―貴南県ボンコル村の事例から―

研究キーワード

チベット・アムド地域、ボンコル村、アニュユラ神、民間信仰、民族誌

研究の概要

本研究の目的は、中国青海省海南チベット族自治州ボンコル村に居住するチベット人を対象として、チベット仏教、ボン教、道教、アニミズム的な民間信仰などが混淆する宗教実践を調査し、民族誌として記述することで、チベット仏教の理解を深化させることである。
チベット仏教は中央チベット・ラサの僧院などを中心に、サキャ派とゲルク派など各宗派の教理及び教義、見解などに基づき階層的で中央集権的な権力構造を形成してきた。それゆえ、宗教と政治の「政教合一制」は、チベットの特徴的な文化としてこれまで論じられてきた。しかし、宗教的指導者と一般民衆の宗教に対する意識は必ずしも同一ではなく、チベットの村々で行われる宗教実践は、道教の影響を受けたり、土地神などのアニミズム的な信仰が残っていたり、呪医やシャーマンへの信奉があったりと一枚岩ではない。本研究ではチベット・アムド地域を対象に、こうした混淆する宗教実践を詳細に記述することで、チベット仏教の理解に再考を迫ろうとするものである。
従来のチベット研究は、主としてチベット仏教という大伝統に属する部分に関して進められてきたが、本研究は地域社会の「小伝統」、つまり種々の信仰が混淆している現地の市井の人々の宗教実践を明らかにするものである。

研究成果レポート