国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

在学生の研究内容

更新日時:2018年4月12日

呂怡屏LU Yi-ping

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専攻

地域文化学専攻

指導教員

主指導教員:野林厚志/副指導教員:齋藤玲子

研究題目

民族・民俗資料の文化資源としての活用に関する博物館人類学的研究

研究キーワード

文化復興、民族アイデンティティ、シラヤ族

研究の概要

台湾の平埔族の一集団、シラヤ族の人々は、現在、民族としての法律的地位を獲得することを目指し、伝統的な祭りや工芸を復興し、自分の文化を主張する活動を展開している。本研究は、その活動の実態を把握し、民族のアイデンティティ形成のメカニズムを明らかにしようとするものである。具体的には、近年の政治的運動から文化復興に向けた原住民族運動の方針の変遷を跡づけるとともに、シラヤ族の内部のコンミュニティの行動のありかた、シラヤ族と博物館などシラヤ族の外部の連携関係、とくに博物館の収蔵品という資源の活用に注目する。それらの考察を通じて、エスニシティの構築のありかたを解明するのが本研究の目的である。

本研究における「平埔族」とは、単一の民族の名称ではなく、台湾のオーストロネシア系先住民族のうち、漢化の進んだ部族など集団の総称である。シラヤ族は平埔族の中でも、先住民族としてのアイデンティティを比較的よく保持してきた集団である。近年、政府に「シラヤ族」としての民族認定を要求している集団であり、そのアイデンティティのあり方について、シラヤ族の人々自身の関心も強くなっている。

こうした状況をうけて、本研究ではシラヤ族の人々が民族的アイデンティティを形成するための、彼らの主体的な文化再構築活動、その際のコミュニティー内部の統合のありかた、さらにコミュニティー外部と取り合っていく協力関係を観察し分析する。

研究成果レポート