温度・湿度分析システム・スモールパッケージ

20140213  園田直子

1.開発の背景

 環境調査のために、データロガーを用いて温度・湿度をモニタリングしている博物館・美術館は多い。
 膨大な量となる温度と湿度のデータを効率的に管理、分析するために、人間文化研究機構・連携研究「人間文化資源の保存環境研究」(平成22~26年度)の一環で、本連携研究会ではこれまで、温度・湿度分析システムを研究開発してきた。使用したロガーの機種に関係なく、個々のデータの検証、さらには複数のデータの相互比較が容易にできるように、任意の条件でのグラフ作成が行えるシステムを構築したのである。同じシステムは、現在、国立民族学博物館だけでなく、連携研究機関(国立歴史民俗博物館、国文学研究資料館、東京国立博物館)で運用可能となっている。
 つぎの展開として、温度・湿度分析システムを、他の機関(人びと)でも活用できるよう研究開発を続けた結果、平成25年度、各機関で使用中のパソコン単体で利用できるシステム(温度・湿度分析システム・スモールパッケージ)のプロトタイプを完成できた。
 来年度は、連携研究機関以外で協力していただける機関でシステムを実際に運用してもらい、そこから得られる意見をもとに、システムを改良し、完成に結びつけたいと考えている。今回の研究会では、開発したシステムを紹介するとともに、来年度の方向性そして今後の活用について話し合う。

2.動作環境

  • Windows8(64Bit版)または、Windows8.1(64Bit版)
  • Microsoft Excel2010(64Bit版)
  • Disk容量200GB以上(収集するポイント数、期間により増減)

3.温度・湿度分析システム・スモールパッケージの概略

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グラフ条件設定
分析する温度・湿度の抽出条件を設定します。(グラフの種類、抽出期間等)
データ取込
データロガーで収集された温度・湿度データのデータベースへの取込みを行います。また、メーカ毎にフォーマットの違うデータを、本システムで利用できる共通のフォーマット形式に変更します。
バックアップ
データベース上に格納されている温度・湿度データ及び、データロガー設置場所等の基礎的な情報(マスタ情報)の他媒体へのバックアップを行います。障害発生時には、バックアップデータからシステムの復元ができます。
マスタメンテナンス
ロガーデータの設置場所等のマスタ情報の登録を行います
削除機能
登録済みのマスタ情報の削除を行います。

4.作成グラフの例

a. ポイント別分析グラフ:指定したポイントの指定した期間内の推移を折れ線グラフで表示

(横軸は、共通の年月日・時間となる)

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b. 時期別分析グラフ:指定したポイントの期間別の比較を折れ線グラフで表示

(横軸は、○日目となる)

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c. 温度・湿度散布図:指定したポイントの温度・湿度を散布図で表示

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